リスペクトレコード設立30周年
ナンシー・ヴィエイラ&フレッヂ・マルチンス
「エスペランサ〜希望〜」リリース記念公演
ナンシー・ヴィエイラとフレッヂ・マルチンスの公演を開催します。
4/23リリースのアルバムの、二人のアンサンブルがとても心に響き、来日公演が出来ればと思いました。
しかし、CD販売は年々厳しさを増し、資金面での不安から、来日公演の開催に関して、随分悩みました。
が、アルバムを聴けば聴くほど、来日公演への思いが募り、開催に踏み切りました。
来日公演の開催は、2011年のフランス人アコーディオン奏者、ダニエル・コランさん以来です。
戦争、分断、排除など、世界が混迷を増す中、今回のアルバムに込められた愛と優しさを、
コンサートで届けられればと思います。
公演に先立ち、アルバムから「もたらされる平和」の歌詞をお届け致します。
O pão que se divide vira canção(分かち合って生まれてくる歌)
A mão que se decide vence o canhão(手を差し伸べれば、乗り越えられる争い)
Pegando na mão(手を取り合って)
De uma multidão(群衆の手を)
De gente que ama(愛する人々の手を)
ご来場をお待ちしております。
兵庫・神戸公演
神戸 100BANホール
東京
南青山MANDALA(マンダラ)
“緑の岬”を意味する大西洋の群島、カーボ・ヴェルデは16~17世紀、アフリカと、ポルトガルの植民地だったブラジルを結ぶ奴隷貿易の中継地点となり、1975年にポルトガルから独立した。
その年に生まれたナンシー・ヴィエイラは、カーボ・ヴェルデ大使の父と共に14歳でポルトガルに移った。2013年に初来日して僕が制作するFM番組に出演した時、英語の通訳が同行していたがポルトガル語で話しましょうということになり、こちらに合わせてブラジル訛りのポルトガル語で話してくれた心配りがありがたかった。そして彼女の歌声には、同国の音楽のシンボル、セザリア・エヴォラの遺産を受け継ぎながらも、今を生きる音楽家の芯の強さと優しい包容力がみなぎっていた。
シンガー・ソングライター&ギタリスト、フレッヂ・マルチンスは、ブラジルのリオデジャネイロ州ニテロイ生まれ。2000年代初頭はポップな感覚のMPBの音楽家だったが、全曲オリジナルのボサノヴァ・アルバムも作り、現在はポルトガル在住。昨年のアルバムは日本でも知られるパーカッション奏者、マルコス・スザーノとのコラボ作だった。
ナンシー・ヴィエイラとフレッヂ・マルチンスがポルトガルで出会い、10数年の交流と共演を経て録音したツイン・リーダー・アルバム『エスペランサ~希望〜』は、フレッヂのオリジナル曲とカーボ・ヴェルデの曲をメインに構成される。カーボ・ヴェルデの音楽モルナからブラジルのサンバやショーロ、ボサノヴァまで、さらにポルトガルとキューバの音楽も1曲ずつスパイス。フレッヂが弾くアコースティック・ギターに乗った2人の歌声には、大西洋という巨大な鍋の中で出会ったさまざまな文化が、長い歳月をかけて溶け合ったスープのような、深い味わいがある。しかも伝統回顧の重々しさはなく、同時代の音楽の軽やかな味だ。ポルトガル語圏の人々の感情表現のキーワード“サウサージ(サウダーデ)”が、懐古趣味の郷愁だけを表す言葉ではないように。
このスープの中には、日本の出汁(旨味)すらも含まれている。それが何かは、ナンシーとフレッヂのアルバム、そしてライヴを聴いてのお楽しみ。何か分かれば“サイコーだよ!”
中原仁(J-WAVE「サウージ!サウダージ」プロデューサー)