知名定男

「うたまーい」

「うたまーい」
島唄のマイスター、知名定男14年振りのスタジオ録音ソロ・アルバム。熟成された深いコクと味わいを湛えた、歌・三線をお楽しみ下さい。

■本作について

沖縄民謡界の重鎮にして、第一線で活躍を続ける知名定男。自身のスタジオ録音ソロ・アルバムは1991年『島うた』以降リリースがなく、新作が熱望されていました。還暦を迎える今年、是非知名定男の島唄を届けたい。三線、歌、島太鼓のみで構成された、シンプルで力強いアルバムを作りたい。そのような考えからこの作品が生まれました。
今作の作品に至るには昨年リリースされた作品、『登川誠仁&知名定男』が大きく拘っています。この作品は知名が自身の師匠と共演したものですが、当時のインタビューでこのように語っています。
「アルバムの出来上がりを聴いて、満足する前にやる気が出てきました。歌わなきゃいかんと触発されましたね。(中略)僕もソロをバンバンやらないといけないと思いました。まだまだ立ち向かう若さもあるし、ベテランのフリをしている場合じゃないですよね。」(2004年5月号 おきなわJOHOより引用)
この思いを形にしたのが、まさに本作です。

■演奏者

知名定男の三線、歌、琉琴(知名定男の父、知名定繁が考案した、沖縄独自の奏法を持つ琴)を中心に、次男の知名定人が三線、初代ネーネーズの吉田康子が三板、囃し、指笛、3代目ネーネーズの與那覇歩が囃し、ひがけい子が太鼓で参加しています。

■タイトル

「うたまーい」とは、“歌のあるところを訪ねてまわる”という意味を持つウチナーグチ(沖縄方言)です。


■収録曲

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選曲は知名定男自身が行い、M3のみ制作サイドがリクエストしました。 M13のカチャーシーナンバー、M4の遊び歌などの沖縄民謡のスタンダード曲を中心に、M3は初代ネーネーズのデビューアルバムにも収録されているナンバーで、知名定繁と故・照屋林助の作品です。M7は知名定男のオリジナル曲であり、1972年大ヒットを記録した作品です。

1. ヤッチャー小〜シューラ節
沖縄民謡 4:53
『ヤッチャー小』は毛遊び曲。「恋しいあなた、女心を解って下さい」と歌い込まれています。『シューラ節』は「今一度若かった頃に戻り、毛遊びを楽しめたなら、どんなにかいいだろう」と歌い込まれています。
2. 越来ヨー
沖縄民謡 4:55
「越来」とは地名でコザの前身、現沖縄市のことです。毛遊びの出来事が歌い込まれています。
3. ジントーヨーワルツ
作詞 知名定繁/作曲 照屋林助 3:21
初代ネーネーズのレパートリー曲。親と子の別れの様が歌い込まれています。
4. 海ぬチンボーラー
沖縄民謡 3:34
「チンボーラー」とは巻貝の事。元々は遊廓で流行った遊び歌です。
5. 伊計離り節〜勝連節
沖縄民謡 5:11
「伊計離り」は沖縄本島近く、伊計島の事です。平安座の浜で伊計島に出稼ぎに行っていた男を、待ちわびている女性の様を歌い込んでいます。
6. 御物奉行〜主ぬ万才
沖縄民謡 4:14
財政奉行の事を歌っています。この二曲はメドレーで歌われる事が多くあります。
7. うんじゅが情ど頼まりる
作詞/作曲 知名定男 3:30
私の気持ちをどうか解って下さい。あなたの情けを掛けて下さいと、歌い込まれています。
8. ヒンスー尾類小
沖縄民謡 4:59
「ヒンスー尾類小」とは最下層の遊女の事で、様々な遊女の様が歌い込まれています。
9. 安田越地
沖縄民謡 3:35
「安田」は地名、「越地」は峠の事で、この曲は恋歌です。
10. 収納奉行
沖縄民謡 4:19
収税役人がやってきた、島の美童たちよ、彼らの宿に行って情を受けてきなさいと歌い込まれています。
11. 南洋小唄
作詞/作曲 比嘉良順 4:37
南洋への移民、そして戦争を潜り抜けてきた思いが歌い込まれています。
12. 恋の花
沖縄民謡 4:17
辻の遊郭で流行った曲です。男性から女性に対する、別れを惜しむ気持ちが歌い込まれています。
13. 屋慶名クファディーサー
沖縄民謡 4:12
「クワデーサー」とは、南島にまれな落葉の喬木の事です。屋ケ名地方のその木の下での、若者たちの浜遊びの様が歌い込まれています。


■知名定男 プロフィール

1945年大阪生まれ。父は琉球民謡界に多大な功績を残した故・知名定繁。
小さい頃から音楽的才能を発揮し、1957年、米軍統治下にあった沖縄へ密航、登川誠仁に師事することになる。同年「スーキカンナー」で華々しくデビュー。72年沖縄音楽史上空前の大ヒット曲「うんじゅが情どぅ頼まりる」を作詞/作曲。78年にはアルバム「赤花」で本土デビュー。収録曲「バイバイ沖縄」は島唄にレゲエをミックスさせた曲として注目される。
その後91年からネーネーズのプロデュースを始め、同年ソロアルバム「島うた」、92年には「島や唄遊び」、96年には二代目襲名披露公演のライブ盤「遊び唄・情け節」を発表。またブラジル在住の沖縄系二、三世でつくる民謡グループ、トントンミー、男性4名からなる琉球民謡グループ、ザ・フェーレー、鳩間島出身の鳩間可奈子、吉田康子、新生ネーネーズなど、多数のアーティストのプロデュースも手がけている。
2004年には師匠の登川誠仁とアルバムをリリース。同年9月大阪ドームの琉球フェスティバルに2人で出演。現在琉球音楽協会会長を務め、那覇の国際通りでライブハウス島唄を運営している。