結婚披露宴で使っても良し、聴いて楽しむも良しの、ニービチソング集!
- 48pブックレット封入
- 歌詞・対訳、アルバム・曲解説、本島・八重山・宮古のニービチの近況を掲載
- ジャケット、バックインレイ、トレイ下は、佐藤由樹子氏によるチョークアート(チョークアートに関する説明もブックレットに掲載)
■アルバム内容
ウチナーグチ(沖縄語)で結婚式のことを「ニービチ」と言い、「根引き」と当てます。
このアルバムは「ニービチ=結婚」をテーマにしたもので、沖縄本島、宮古、八重山と、それぞれの地域の結婚式、披露宴で、現在でも歌われている歌を収録しています。収録曲は、300年以上も沖縄に伝わる、祝宴の座開きとして歌い踊られる「かぎやで風節」。1842年創作の「鷲ぬ鳥節」。何百年も宮古で歌われて来た「とうがにあやぐ」など、現代の結婚式、披露宴にも欠かせない曲ばかりです。このCDからは、琉球列島の多様性と、ウチナーンチュ(沖縄人)が今でもいかに伝統を大切にし、それを継承しているか、その姿勢も伝わって来ます。
沖縄の結婚式に於いて、結婚の儀礼行事もさることながら、披露宴には沖縄ならではの特色があります。
①披露宴の招待状が来ると、個人的な予定、地域の予定よりも、披露宴の予定が優先されることが多い。
②招待状は多くの参加予定者に送る為、披露宴の参加人数が100名を超えるもの、中には200名、300名以上のものもあります。
③披露宴会場の前後にステージがあり、間断なく余興が行えます。新郎新婦が座るステージにて余興を行なっている間に、後ろのステージでは、次の余興の準備が始まります。
④余興への出演を依頼された場合、基本、断ることなく参加するように努めます。出演する事が、おめでたい気持ちを表すことになるからです。新郎新婦との親密度が高ければ、例えパフォーマンスが未熟でも、また周りの人の真似をしているだけでも許されることもあります。
⑤披露宴の開会のサインは、本CD収録の「かぎやで風節」です。この歌と演奏、踊りがないと、沖縄本島では披露宴は始まりません。
⑥八重山では、「鷲ぬ鳥節」「かぎやで風節」「赤馬節」の3曲から、宮古では「とうがにあやぐ」「かぎやで風節」が披露宴のオープニング曲に選ばれます。
⑦その後、本CD収録の「前ぬ浜節」、「四つ竹」、余興の定番舞踊曲と言える「加那ヨー〜天川」などが披露されます。宮古では「米ぬあら」八重山では「でんさ節」などが披露されます。
⑧その後、様々な余興(時には、エイサーなども)が披露され、いよいよ宴もフィナーレになると、カチャーシーが踊られます、新郎新婦、親戚縁者、友人知人など参加者全員が、二人の門出を祝い、乱舞します。沖縄本島では、本CD収録の「唐船どーい」が必ずと言っていい程歌われ、この曲でカチャーシーが踊られます。
⑨八重山でのフィナーレのカチャーシーは、沖縄本島の流れを汲む人達は、「唐船どーい」を歌い、踊ることもありますが、根っからの八重山の人は「六調節」(奄美から伝わり、八重山で歌われる踊り歌)を好みます。また宮古では、「クイチャー」(宮古独特の集団による踊り歌)が好まれます。
⑩八重山では、披露宴の最後、新郎新婦の退場の際には、本CD収録の「弥勒節〜やらよぅ節」が歌われます。
■収録曲
試聴 クリックでウインドウが開きます。
- ①かぎやで風節~御縁節~揚作田節 琉球古典音楽
- ●歌・三絃:結ヌ会(琉球古典音楽野村流保存会)野原廣信、玉那覇昭二、宮城 修、野原新勇、大城武二、屋比久 勲、田本 勉、喜瀬 学、金城裕幸、知念 正、大城孝子、野原理恵、新垣 恵
ここで歌われる「かぎやで風節」の歌詞は、婚礼の際に歌われる歌詞です。「御縁節」では、出会いを喜び、「揚作田節」では、豊年満作を喜び祝賀します。
- ②四つ竹(踊りくわでさ節) 琉球古典音楽
- ●歌・三絃:大城孝子、長嶺ルーシー、野原理恵、新垣 恵
四つ竹をカチカチと鳴らしながら踊る。なんとめでたく、嬉しいことよ!
- ③前ぬ浜節~坂原口節~与那原節 琉球古典音楽
- ●歌・三絃:宮城 修、屋比久 勲、田本 勉、野原新勇、知念 正
この歌には踊りが伴い、その勇壮な踊りが、祝賀の席を盛り上げます。
- ④ニービチすがやー 作詞:上原直彦、作曲:知名定男
- ●歌・三絃:長嶺ルーシー、石川陽子●三絃:喜久山節子
「心に思う人がいるの 結婚しようかしらお父さん、お母さん」と歌われる、初々しいニービチソング。
- ⑤鷲ぬ鳥節 八重山民謡
- ●歌・三絃:高那真清、垣迫憲介
八重山を代表する祝賀曲。結婚式のみならず、新年の門出でも必ず歌われます。格調高い歌詞も素晴らしい曲です。
- ⑥目出度節 八重山民謡
- ●歌・三絃:高那真清、垣迫憲介
曲のタイトル通り、おめでたい席では、定番中の定番の曲です。
- ⑦かたみ節 八重山民謡
- ●歌・三絃:高那真清、垣迫憲介
八重山民謡からアレンジされ、沖縄民謡の祝い歌として、各地で歌われています。「かたみ」とは、縁をかためるとの意味合いもあります。
- ⑧でんさ節 八重山民謡
- ●歌・三絃:高那真清、垣迫憲介
「まっすぐな心を持ってこそ、世間は渡れるのです」と歌われる、夫婦関係、人間関係を円満にする上での心の持ち様が歌われています。
- ⑨弥勒節~やらよぅ節 八重山民謡
- ●歌・三絃:高那真清、垣迫憲介
八重山では、祭事や祝宴の席でこの2曲を歌い、終宴となります。弥勒様の加護がありますように。
- ⑩とうがにあやぐ 宮古民謡
- ●歌・三絃:友利 歩、花城静香●三絃:垣花貞子
「宮古の君が代」とも称されるこの曲には、「かぎやで風節」同様に多数の歌詞があります。本CDでの歌詞は、結婚祝いと夫婦相和を歌い込んだ歌詞です。
- ⑪米ぬあら 宮古民謡
- ●歌・三絃:垣花貞子、友利 歩、花城静香
「例え一夜であっても百年の縁 契り結ぶ 良い世の中になれ」と歌われています。
- ⑫梅の花乙女 作詞・作曲:平良玄幸、平良玄信、編曲:平良重信
- ●歌・三絃:友利 歩、花城静香
近年、宮古島での結婚式で歌われることが増えてきたこの曲は、「百年変わらぬ永遠の愛を二人で誓う」と歌われています。
- ⑬根引ち音頭 作詞・作曲:大城志津子
- ●歌・三絃:長嶺ルーシー、石川陽子●三絃:喜久山節子、上原 淳
1973年作のこの曲は、「今日の佳き日に運命の糸の縁を結んで 千代の栄えお願い申し上げます」と歌われています。
- ⑭~⑮ 加那ヨー~天川 沖縄民謡
- ●歌・三絃:宮城 修、喜瀬 学、金城裕幸
愛する人への呼びかけ「加那ヨー」、「私のことを愛してください」と歌われる「天川」。披露宴の余興での定番舞踊曲です。
- ⑯嘉手久~唐船どーい 沖縄民謡
- ●歌・三絃:長嶺ルーシー、石川陽子●三絃:喜久山節子
披露宴のフィナーレ、幸せを祈って、踊りましょう!歌いましょう!
■主な演奏者の紹介
- 結ヌ会
- 2009年リリース「沖縄おめでたい歌決定盤」でも素晴らしい歌・三線を披露。本島、南風原町を拠点にする、琉球古典音楽野村流保存会。結成20年以上となる。リーダーの野原廣信は、人間国宝の城間徳太郎氏に師事し、沖縄県指定無形文化財に認定されている。
- 喜久山節子
- 女性民謡歌手として戦後島うたを牽引してきた大城志津子を師匠に持ち、現在は、石川陽子、長嶺ルーシーなど後進の指導をしている。また、毎晩、民謡ショーのステージに立ち、活躍中。
- 石川陽子
- 大城志津子、金城恵子、喜久山節子の薫陶を受け、沖縄県内外でライブを行っている。アルバム「三味の喜び」を2018年にリリース。
- 長嶺ルーシー
- ペルー生まれペルー育ち。両親共沖縄系の沖縄三世。5才の頃から祖母の弾く三線に乗せて、沖縄民謡を歌い始める。琉球古典音楽、琉球民謡、八重山古典音楽の歌い手として活躍中。
- 高那真清
- 2009年、沖縄県指定無形文化財沖縄伝統音楽野村流保存会伝承者に認定された、八重山古典音楽、琉球古典音楽のベテラン演奏家。八重山諸島、黒島の出身。
- 垣花貞子
- 宮古民謡保存協会副会長を務め、後進の指導を精力的に行なっている。また、ライブも定期的に行い、人気を博している。
■レコーディングデータ
録音:スタジオG(宜野湾)
録音エンジニア:比嘉康晶
録音アドバイザー:田中三一、飯塚晃弘
ミックスダウン:スタジオChatri(東京)
ミックスダウンエンジニア:飯塚晃弘、田中三一
マスタリング:田中三一