マティルド・フェブレール

「バイオリン、それは私
〜トリビュート・トゥー・ステファン・グラッペリ〜

Mathilde Febrer “Un violon pour tout bagage -Hommage à Stéphane Grappelli -”

 マティルド・フェブレール「バイオリン、それは私〜トリビュート・トゥー・ステファン・グラッペリ〜」
偉大なるジャズ・バイオリン奏者、ステファン・グラッペリに捧げる作品!


■アルバム内容

ジャンゴ・ラインハルト系譜のジャズのエッセンスも継承した、まさにフランスならではのジャズ・アルバム! セッション・ミュージシャンとして八面六臂の活躍をしているバイオリン奏者、マティルド・フェブレール渾身の一枚。

「今回、私が目指したのは、ステファンの真骨頂である美しく、的確な音色に出来るだけ近づくことです」──マティルド・フェブレール

 

シャンソン歌手、クレール・エルジエールの2022年の来日公演で、素晴らしい演奏を披露してくれたマティルド・フェブレール。
今作はマティルドの初リーダーアルバムであり、フランス生まれの偉大なるバイオリン奏者、ステファン・グラッペリに捧げる作品です。

マティルドの師匠は、ジャズ・バイオリン奏者のディディエ・ロックウッド、そしてピエール・ブランシャール。師匠の2人は、マティルドと同じくクラシックからジャズの道に入り、ステファン・グラッペリの教え子に当たります。マティルドが、ステファン・グラッペリ直系のバイオリン奏者と言われる所以は、ここにあります。

今作を制作するに当たりマティルドは、
「自宅にあるステファンのアルバムを全て聴き直し、さらにアルバム以外の音源も全て聴きました。アルバム収録曲を決める為に、2ヶ月掛けました。また、ステファンは、若い人達の創造力をとても評価していました。そこで今回、ステファンをイメージしながら、オリジナル曲も収録しようと思い立ったのです。」
「今回のアルバムでは、ステファンのレパートリーをカヴァーする事に加えて、オリジナル曲も収録することで、ステファンの後継者としてバトンを受け取った、という事を示したいと思いました。」

今作のアルバムタイトルに関して、マティルドは、 「アルバムのタイトル『Un violon pour tout bagage(持ち物といえばバイオリン一挺きり)』は、ステファンの伝記のタイトル『Mon violon pour tout bagage(持ち物といえば私のバイオリン一挺きり』)に着想を得ています。」「持ち物といえばバイオリン一挺きり、つまりバイオリンは私の人生の全て、という意味。それはまさに私の事です。」

  敬愛して止まないステファン・グラッペリ そして師匠の2人に対して、万感の思いを込めると共に、ステファンの足跡を未来に繋げる意志をも示したのが、今回のアルバムです。


■収録曲(全曲編曲:マティルド・フェブレール)

試聴 クリックでウインドウが開きます。

①I'll Remember April 四月の思い出
作曲:Gene De Paul
マイルス・ディヴィス、オスカー・ピーターソンなど多くのジャズ・ミュージシャンがカヴァーしている名曲。ステファン・グラッペリはバッキー・ピザレリとの共演盤で録音しているなど、ステファンにとってもお気に入りのナンバー。
②Japan Feeling ジャパン・フィーリング
作曲:Mathilde Febrer
ステファン・グラッペリとジャンゴ・ラインハルトが好んで演奏した、典型的なマヌーシュ・スウィングによるナンバー。「日本で実感したお祭り好きで陽気な雰囲気は、マヌーシュ・スウィングにも通じるものがあると思いました」とマティルド。日本に捧げた、今作の為の書き下ろし。
③Douce France 優しきフランス
作曲:Charles Trenet and Léo Chauliac
シャンソンの名曲として歌い継がれているこの曲を、ステファン・グラッペリはミシェル・ルグランとの共演盤に録音している。
④Milou En Mai ミルのテーマ(映画『五月のミル』より)
作曲:Stéphane Grappelli
ステファン・グラッペリが音楽を手掛けた映画「五月のミル」のテーマ曲。この映画はルイ・マル監督作品として、1990年、日本でも公開され、話題となった。
⑤Blues For Stéphane ブルース・フォー・ステファン
作曲:Mathilde Febrer
マティルド・フェブレールから愛を込めて、ステファン・グラッペリに捧げるブルース。今作の為の書き下ろし。「ステファンはとてもブルースが好きだったの」(マティルド・フェブレール)
⑥Ballade De l’Espérance 希望のバラード
作曲:Mathilde Febrer
今作の為の書き下ろし。「ステファンから影響を受けた私の中から、今の時代を鑑みて、おのずと生まれて来たメロディー。平和への希望を込めたオリジナル曲です」(マティルド・フェブレール)
⑦Si Tu Savais 知っていたなら
作曲:George Ulmer
ステファン・グラッペリがジャンゴ・ラインハルトと共に、とても美しい録音を残しているシャンソンの名曲。
⑧Double From No.1 Partita For Violin 無伴奏バイオリンのためのパルティータ第一番からドゥーブル 
作曲:Jean Sebastien BACH
クラシックが見事にジャスに変身した華麗なる一曲!ステファン・グラッペリとジャンゴ・ラインハルトが、1937年に録音し、二人のライブでも演奏された。「ほら、バッハのソナタもスウィングしているでしょ!」(マティルド・フェブレール)
⑨Valse Du Grand Paris グラン・パリのワルツ
作曲:Mathilde Febrer
クリストフ・ランピデキアのアコーディオンとマティルドのバイオリンのアンサンブルが聴きどころの、今作の為の書き下ろし。「ステファンとリシャール・ガリアーノ(アコーディオン奏者の)の共演をイメージしました」(マティルド・フェブレール)
⑩Daphné ダフネ
作曲:Django Reinhardt
ステファン・グラッペリの盟友、ジャンゴ・ラインハルトの名曲。ステファンのコンサートでは、ほぼ演奏されて来た定番曲。
⑪The Jitterbug Waltz ザ・ジターバッグ・ワルツ
作曲:Thomas''Fats''Waller
ステファン・グラッペリが愛し、録音もした、ファッツ・ウォーラー作、ジャス・ワルツの名曲。
⑫Les Valseuses バルスーズのテーマ(映画『バルスーズ』より)
作曲:Stéphane Grappelli
ステファン・グラッペリが音楽を手掛けた映画「バルスーズ」のテーマ曲。ベルトラン・プリエ監督作品、1975年日本公開。
「私の師匠、ディディエ・ロックウッドよく弾いていました」(マティルド・フェブレール)


■マティルド・フェブレール プロフィール

ステファン・グラッペリ直系のバイオリン奏者。4歳でバイオリンに遭遇。6歳でバイオリンを買ってもらい、地元のコンセルヴァトワールに通い始め、クラシック・バイオリニストとしてスタートする。以来、現在に至るまで、バイオリン一筋の人生。その後、ジャズに興味を持ち、25歳頃からステファン・グラッペリの教え子、ディディエ・ロックウッドの指導を受ける。さらに、1997年には、ジャズ・ヴァイオリニストのピエール・ブランシャール(彼もステファン・グラッペリの教え子)が教鞭を取る学校で学ぶ。以降、ジャズを中心に様々なスタイル(ピチカートやバンジョーのようなリズミカルな音色、ジプシー風、クラシックの素養、火の出るようなヴィルチュオジテ=名人芸、勘所を心得たソロなど)にチャレンジする。その結果、ミュゼット、スウィング、ジャズ、タンゴ、シャンソンなど、多彩なスタイルでの演奏に対応出来、多くのミュージシャンと共演する事となる。主な共演者はルノー、アンリ・サルヴァドール、シャルル・アズナヴール、フランシス・カブレル、サンセヴリノ、トマ・デュトロン、マノー(文学的なラップとケルト音楽を融合させたバンド)など。
2016年にアコーディオン奏者のダニエル・コランとの共演アルバムをリリース。
シャンソン歌手のクレール・エルジエールのアルバムにも参加し、クレールの2回の来日公演にも参加した。
現在のフランスで、最も活躍しているバイオリン奏者である。

■参加ミュージシャン

いすれもフランスのジャズシーンの一線にて、活躍しているミュージシャンばかりです。

ピアノ:ALAIN JEAN-MARIE(アラン・ジャン=マリ)
チェット・ベーカー、アート・ファーマー、アビー・リンカーンなど、錚々たるジャズ・ミュージシャンと共演している、フランスを代表する ジャズ・ピアニスト。リーダー・アルバム「ビギン・リフレクションズ」が日本でもリリースになりました。
ベース:YVES TORCHINSKY(イヴ・トルシャンスキー)
澤野工房からリリースされたアルバム「ルネ・ユルトルジェ・トリオ」に参加している他、オルケストラ・ド・コントラバスのメンバーをとして注目を浴びました。ポップス、ジャズ、ブルースなど、多彩なジャンルで活躍しています。
ドラム:JULEN CHARLET(ジュリアン・シャルレ)
セルジュ・ゲンズブールを始め、ジャン・ミッシェル・ディビィスのアルバム「ビブラフォン・ジャズ」など多くレコーディングに参加しています。多彩なジャンルで活躍するドラマー。
ギター:JEAN-MARIE ECAY(ジャン=マリ・エカイ)
ディディエ・ロックウッドとの共演のほか、スタンリー・ク ラーク、ラリー・カールトンなど多くのミュージシャンとの共演歴があるギタリスト。レコーディング参加アルバム数は350枚以上。
ギター:SAMY DAUSSAT(サミー・ドーサ)
マヌーシュ・スイングのチャボロ・シュミットや、パトリック・ソーソワのサイド・ギタリストとして活躍。2011年には自身のトリオのアルバムもリリース。注目株のマヌーシュ・ギタリスト。
アコーディオン:CHRISTOPHE LAMPIDECCIA(クリストフ・ランピデキア)
日本でも人気が高いアコーディオン奏者。2019年には、 自身のリーダーアルバムをリリース。2018年と2022年のクレール・エルジエールのツアーで来日し、流麗なアコーディオンを聴かせ、絶賛を浴びる。

■レコーディング・データ

  • studio De La Seine(パリ)にて、2023年5月に録音
  • レコーディング&ミックス・ダウンエンジニア:Mohammad Sadeghin
  • マスタリング:studio Chatri(東京) マスタリング・エンジニア:田中三一