「イタリアの四季」四部作の最後を飾る、「Primavera〜イタリアの春〜」がリリース!
生命の息吹を感じる春。マンドリンとギターのアンサンブルが、詩情あふれる春の風景を伝えます。
- 2019年11月イタリア録音
- アルバム、曲解説:マウロ・スクイッランテ、山岸伸一
- ジャケット写真、紀行文:篠 利幸
■本作について
「イタリアの季節を巡る旅は、いよいよ最終章を迎えることになりました。現在までに“イタリアの四季”と題して、秋、夏、冬編をリリースして来ましたが、春=プリマヴェーラでこのシリーズを完結することは、とても感慨深いものです。なぜなら“プリマヴェーラ”という言葉は、イタリア語で「最初のシーズン」という意味もあるからです。つまり私達は、この作品で終わりを迎えるのではなく、ここからまた、新たなる音楽の旅をスタートさせるのです!」
──マウロ・スクイッランテ
2016年9月リリースの「Autunno〜イタリアの秋〜」からスタートした、イタリアの四季シリーズの最終章が本作「Primavera~イタリアの春〜」になります。
ナポリ・マンドリン・オーケストラのリーダー、マウロ・スクイッランテと、イタリアを代表するギタリストの1人サンテ・トゥルジ。2人のアンサンブルが、今回も多彩なイタリアの春の風景を伝えます。
定番のヴィヴァルディの四季からは、協奏曲第1番ホ長調「春」の第3楽章「アレグロ」。イタリアにルーツを持つ、アストル・ピアソラの作品からは「ブエノスアイレスの春」。有名なオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」からは間奏曲を。また聖母マリアは5月に祝われることが多いことから「アヴェ・マリア」を収録するなど、今回も多彩な楽曲で、イタリアの春の風景を詩情豊かに伝えてくれます。
今作についてマウロ・スクイッランテは次の様に述べています。
「イタリアの春がどれほど豊かな季節であることか!多くの動・植物が目覚め、自然はどこよりも豊かな景観を提供してくれます。私達が、本作で表現しようとしたのは、まさにそのような春の風景です。」
また、とても重要なことは、マウロがマンドリン音楽の発展と普及に貢献した、素晴らしい先達の音楽家の曲を本作でも取り上げ、優れた編曲と質の高い演奏でリスペクトを表していることです。それはラファエレ・カラーチェ、ジャコモ・サルトーリ、カルロ・ムニエルの作品を取り上げることであり、そのことはとりもなおさず、マウロ自身のマンドリン音楽の伝道師としての矜持を伝えることにもなります。
マンドリンとギターの名手が描くイタリア春の風景を、CDブックレット収録の篠 利幸氏のエッセイを読みながら、ゆったりと味わって頂ける作品です。
■収録曲
試聴 クリックでウインドウが開きます。
- 1. Era de maggio
- 五月だった
大変有名なナポリ民謡です。“私は帰ってくる 薔薇の花咲く頃に それが5月ならば 5月が私の帰る時だ”と歌われています。これまでのイタリアの四季シリーズでも取り上げてきた、ジャコモ・サルトーリによる、素晴らしい春に捧げる1曲です。
- 2. Intermezzo della Cavalleria Rusticana
- 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
この有名なオペラの中で演奏されている間奏曲は、イタリアの春の最大の祝祭、パスクア(復活祭)の話がモチーフになっています。とても印象的なメロディーの楽曲です。
- 3. Idillio primaverile
- 春の牧歌
シチリアのカターニャ出身で「マンドリンのパガニーニ」と呼ばれたマンドリンの名手、ジョヴァンニ・ジョヴィアーレの作品です。
- 4. Ave Maria
- アヴェ・マリア
聖母マリアに捧げられるこの楽曲は、イタリアの春を強く印象付けています。なぜなら、聖母マリアは春の復活祭の時期に、祈りを捧げられるからです。
- 5. Sorriso di primavera
- 春の微笑み
マンドリン演奏者に最も親しまれている作曲家である、ジャコモ・サルトーリの作品です。
- 6. Primavera-terzo movimento (Allegro)
- ヴィヴァルディの四季より協奏曲第1番ホ長調「春」、第3楽章アレグロ
「イタリアの春を伝えるのに、まず最初に思い浮かべるのはヴィヴァルディです。」─マウロ・スクイッランテ
- 7. Primavera portena
- ブエノスアイレスの春
イタリアにルーツを持つ、ピアソラ作の名曲です。この曲では、サンテ・トゥルジによる、情熱溢れるギターが堪能出来ます。
- 8. La bella primavera
- 美しい春
これまでのイタリアの四季シリーズでも取り上げてきた、ジャコモ・サルトーリ作による、春に捧げる1曲です。
- 9. Il fior di primavera
- 春の花
「春は多くの作曲家にインスピレーションを与えます。この曲もその1つです。」─マウロ・スクイッランテ
- 10. Boccioli al primo sole
- 最初の太陽の花
マウロ・スクイッランテの友人、ルイジ・モルレオの作品です。「私は彼と彼の作品を深く愛しています」─マウロ・スクイッランテ
- 11. Notturno
- ノクターン
マンドリンソロで演奏されています。春の宵にふさわしい甘いセレナーデです。
- 12. Stabat mater
- 悲しみの聖母
復活祭前の聖金曜日は痛みの日です。ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ作のこの曲には、深い精神性が宿っています。
- 13. Torna maggio
- 帰れ5月
とても良く知られたナポリ民謡です。“薔薇よ、何と麗しい薔薇よ! だがあなたは眠っている! この香りにあなたは目覚めないのか? 春の声が聞こえないのか?”と歌われています。
- 14. Primavera
- 「プラテーロとわたし」作品190より「春」
もともとピアノのために作曲されたこの曲を、マンドリンとギターで演奏しました。
- 15. Tarantella
- タランテッラ
イタリアのダンス・ミュージック、タランテッラ。踊るように楽しいマンドリンソロの演奏です。
- 16. Maggio se ne va
- 去りゆく五月
「この曲の作者、ピーノ・ダニエレはナポリ歌曲界に於ける、最後の正統派といえる作曲家と考えられています。彼は最近亡くなりましたが、私達は彼の功績を讃えて、この作品を収録しました。」─マウロ・スクイッランテ
■マウロ・スクイッランテ(マンドリン)プロフィール
ナポリ生まれ。20歳の時にマンドリンを始め、以降マンドリンの普及に努める。閉鎖されていたナポリ・マンドリン・アカデミーを復活させ、そこで育った優秀な精鋭たちで編成されたナポリ・マンドリン・オーケストラは、世界中でコンサートを行い、2018年7月には初来日を果し、全国6ケ所での公演は大絶賛を博した。現在も自身のコンサートとマンドリンの普及を精力的に続けている。
■サンテ・トゥルジ(ギター)プロフィール
イタリアのプッリャ州の州都バーリの生まれ。セゴビア、東京、ドイツ、ポーランド、スペイン、ペルー、アルゼンチン、ルーマニア、チリ、イギリス、ロシア、メキシコなど世界中でコンサート活動を行っているイタリアを代表するギタリスト。1990年東京国際ギターコンクール優勝者として日本でも人気がある。2018年には、「ナポリ・マンドリン・オーケストラ」のメンバーとして来日する。