V.A.

「フレンチ・アコーディオン〜オリジナル・パリ・ミュゼット 3〜」

フレンチ・アコーディオン〜オリジナル・パリ・ミュゼット 3〜
Heart of Paris──アコーディオンが伝えるパリの心。
永遠に受け継がれて行くパリ・ミュゼットの魅力を伝える作品!

■アコーディオン

ジョー・プリヴァ、マーティン・オコーナー、ジョエ・ロッシ、エマニュエル・ベックス、ダニエル・ドゥヌショー、アルマン・ラサーニュ、アラン・ミュジキニ、エリック・ブーヴェル、ヴァレリー・ゲルーエ、フランソワ・パリジ、ジャン・コルティ、マルセル・アゾラ、セルジュ・ドゥゾネ、ダニエル・コラン

■永遠に語り継がれるパリ・ミュゼット

2010年にデビューした21世紀のエディット・ピアフことZAZのファースト・アルバム「モンマルトルからのラブレター」。アルバムで聞かれるサウンドはジャンゴ・ラインハルトらが広めたマヌーシュ・スウィングの影響が随所に見受けられます。またライヴではアコーディオンが演奏に花を添えるなど、パリ・ミュゼットからの音楽的影響が見られます。
また、ここ日本でもアコーディオン奏者の桑山哲也がダニエル・コランと共作でアルバムを作るなど、パリ・ミュゼットの音楽の種は美しい花を咲かせました。
近年こそパリ・ミュゼット関連のアルバムリリースが減りましたが、その影響は尽きせぬ泉の如く連綿と受け継がれています。
本シリーズ、フレンチ・アコーディオン〜オリジナル・パリ・ミュゼット〜は永遠に聴き継がれるべき作品であり、パリの心、そしてアコーディオンの魅力を後生に伝える充実した作品だと言えます。
今後は若手のアコーディオン奏者がどのようなアプローチで新しいパリ・ミュゼットのサウンドを構築していくのか、期待を持って見守りたいと思います。

■本作について

1990年にリリースされたシリーズの第1弾、1993年にリリースされたシリーズの第2弾に続いて、本作がリリースされたのが1997年になります。本作のレコーディングは1993年1月から1994年の3月に掛けてパリのアコースティ・スタジオで行われました。
しかし、そのレコーディングが終了して間もない1994年7月、パリ・ミュゼット界の大スター、ジョエ・ロッシが亡くなり、1996年にはジョー・プリヴァそして本シリーズの全てのギターを演奏したディディエ・ルーサンとディディ・デュプラが亡くなり、期せずして本作は彼らに対する追悼盤となってしまいました。
さらに2000年には本シリーズのプロデューサーであったパトリック・タンダンも亡くなり、本シリーズの3枚はまさに2度と実現する事のない貴重なものとなりました。
本「オリジナル・パリ・ミュゼット③」は①では軽く触れたに過ぎない側面、ミュゼットの起源に触れている(それは6曲目で聞かれるアコーディオンがイタリア移民によってフランスにもたらされる以前、パリ・ミュゼットを演奏する際の主流の楽器だったキャブレットを披露しているなど)事が聴き所の一つです。
またパリ・ミュゼット界の大スターが一堂に会して、素晴らしい演奏を聴かせているのも本作の特徴です。


■収録曲

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01. パリ・ミュゼット Paris-Musette  
アコーディオン:ジョー・プリヴァ
今は亡きジョー・プリヴァの情感溢れる素晴らしい演奏。プリヴァとディディエ・ルーサン作による美しいワルツ曲。
02. アンディフェランス Indifference 
アコーディオン:マーティン・オコーナー
アイルランド人のベテラン奏者がオコーナー。パリ・ミュゼットの名曲を流麗な演奏で。
03. モデュラント Modulante 
アコーディオン:ジョエ・ロッシ
ムード溢れる曲。ロッシの演奏にヴィブラホンが美しく花を添えています。
04. 夜生きるものたち Les Nocturnes 
アコーディオン:エマニュエル・ベックス&ダニエル・ドゥヌショー
オルゴールも加わり、またサキソフォンも入る少し異色の楽曲ですが、これもミュゼット。
05. 元気一杯 Avec Entrain 
アコーディオン:ダニエル・ドゥヌショー
思わずステップを踏みたくなるワン・ステップのマーチ。ギタリストのディディエ・ルーサンの口上も楽しい曲。
06. 緑の格子(バロー・ヴェール)のワルツ La Valse Des Barreaux Verts
キャブレット:ミッシェル・エスブラン/アコーディオン:ダニエル・ドゥヌショー
キャブレットとアコーディオンのアンサンブルが楽しい仕上がり。アコーディオンが導入される前のミュゼットの形態が聞かれます。
07. ナポリのそよ風 Brise Napolitaine 
アコーディオン:アルマン・ラサーニュ
そよ風が吹き抜ける様に流麗な演奏が素晴らしいの一言。
08. 秋風 Vent D'Automne 
アコーディオン:アラン・ミュジキニ
1962年生まれのミュジキニ。これも大変流麗な演奏が聴き所。
09. 秋風/ルプロッシュ(非難)/ブーラスク(突風)Vent D'Automne / Reproche / Bourrasque 
アコーディオン:エリック・ブーヴェル&アラン・ミュジキニ
2人のアコーディオン奏者の共演が素晴らしいの一言。
10. ラ・ヴィシューズ(ふしだらな女) La Vicieuse 
アコーディオン:エリック・ブーヴェル
1972年生まれ、今後期待されるアコーディオン奏者ブーヴェルの軽快な演奏が素晴らしい。
11. ミリアーナ Miliana 
アコーディオン:ジョエ・ロッシ&ヴァレリー・ゲルーエ
2人のアコーディオン奏者のデュオ。素晴らしいアンサンブルに心奪われる
12. ベニスの人ロジェ Roger Le Vénitien 
アコーディオン:フランソワ・パリジ
パリジによるアコーディオン・ソロ。聴き応え十分なソロ。
13. ラ・リタル La Ritale 
アコーディオン:ジャン・コルティ
そしてこちらはコルティのによるアコーディオン・ソロ。情感溢れるソロが素晴らしい。
14. ラ・シーヌ街 Rue De La Chine 
アコーディオン:マルセル・アゾラ
マズルカのリズムに心踊る曲。アゾラのアコーディオンはやはり聴かせる。
15. ティティーヌ Titine 
アコーディオン:セルジュ・ドゥゾネ
独特のフィーリングを持ったドゥゾネのアコーディオン。曲に流れる哀愁感に心引かれます。
16. アルハンブラ Alhambra 
アコーディオン:ダニエル・コラン
日本でも人気のダニエル・コランのアコーディオンが奏でるスペインのリズム、パソ・ドブレ。心踊る仕上がり。

<日本盤のみのボーナス・トラック>

17. 指5本分の水 Cinq Doigts D'eau 
アコーディオン:フランソワ・パリジ
アルバムのラストはパリジのオリジナル曲。大変美しいメロディーを持った曲。アコーディオンも素晴らしいの一言。


アコーディオン奏者プロフィール

マルセル・アゾラ
1927年生まれ。ジュリエット・グレコやエディット・ピアフ、イヴ・モンタンなどの伴奏を担当したアコーディオン界の大御所。
ダニエル・コラン
1941年生まれ。「鋼鉄の指の男」の愛称でも知られる。日本で最も馴染みのある奏者。ソロ・アルバムも数多くリリースしている。
ジャン・コルティ
1929年北イタリア生まれ。ジョルジュ・ブラッサンスやジャック・ブレルの伴奏を務めたアコーディオンの名手。近年ダニエル・コランと桑山哲也のアルバムにも参加。
ヴァレリー・ゲルーエ
アコーディオンの巨匠ジョエ・ロッシの教え子。
アルマン・ラサーニュ
1934年生まれ。レイモン・ルフェーブル・オーケストラの専属アコーディオニストを務めた。「正統ミュゼットが弾ける最後の男」と言われている。
フランソワ・パリジ
1962年生まれ。シシリア人を祖先に持つ。パリのアコーディオン界を代表する奏者の1人。
ジョー・プリヴァ
1996年に死去した、フランス・アコーディオン界を代表する偉大なる奏者であり、ミュゼット界の生き字引とされた。
ジョエ・ロッシ
1922年生まれのイタリア系アコーディオン奏者。フランスのアコーディオン史に大きな足跡を残す。
アラン・ミュジキニ
1962年生まれ。イタリア系の奏者。中堅所として、増々の活躍が期待される。
エリック・ブーヴェル
1972年生まれ。国際コンクール優勝後、順調にキャリアを重ねている。作曲もする。
エマニュエル・ベックス
1959年生まれ。アコーディオンのほかにハモンド・オルガン、ピアノも弾く。リーダーアルバム多数。
セルジュ・ドゥゾネ
ディアトニック・アコーディオンの名手。
マーティン・オコーナー
アイルランド人のベテラン奏者。ディアトニック・アコーディオンを演奏。
ダニエル・ドゥヌショー
1956年生まれ。歴史的アコーディオニスト、エミール・ヴァシェの研究家であり、ヴァシェ同様”ミックスタイプ”という特殊なアコーディオンを演奏している。