シャンソンの名曲に新たなる生命を吹き込む作品です。
- オリジナル歌詞、対訳、アルバム解説、曲解説付き
- 2008年度録音盤
「とても素晴しい。ああではなくては! 歌は」──ジュリエット・グレコ
クレール・エルジエールのステージを見た際のコメント
■プロフィール
クレール・エルジエールは1971年8月24日パリで生まれた。
数年間、楽器(リコーダ、ピアノ)を演奏したり、様々な合唱団に繰りかえし参加した後、クレールはシャンソンの世界に飛び込む。
1997年にクレールはパリ、シャンソンアトリエ(クリスティアン・ダントゥ運営)のショウの最中にピエール・ルーキ(50年に及ぶ作詞とショウの実績があるアーティスト)に見出される。
同じ年、彼女はうわさの輝かしいピアニスト、グレゴリ・ヴー(彼はその前は作詞家、作曲家、演奏家であった)に出会う。(今作ではM3、16で彼のピアノが聞ける)
1999年にはモントーバンのフェスティバルにて、ジュリエット・グレコの前で歌い、絶賛される。
2003年にはファースト・アルバムがピエール・バルーによって創設されたレーベル「サラヴァ」からリリースされる。
2007年にはアコーディオニスト、ダニエル・コランのリーダーアルバム「フレンチ・カフェ・ミュージック・パリ・ミュゼット2~セーヌ川左岸のロマンス~」にて3曲ボーカルナンバーを披露。続く同年12月のアルバムリリースライブにもゲスト参加し、「ミロール」他シャンソンのスタンダード・ナンバーを歌い、大絶賛される。
今回リリースのアルバムは彼女にとってセカンド・アルバムであり、また日本ではデビュー・アルバムになる。
また今作のプロデューサー、ギタリストであるドミニック・クラヴィク率いるグループ“レ・プリミティフ・デュ・フュチュール(未来の前衛たち)”のメンバーとして活躍している。
■本作について
長く歌い継がれてきたシャンソンの名曲に、新たなる生命を与えようと試みたのが本作のコンセプトです。
プロデューサーは本作のギタリストでもあるドミニック・クラヴィク。彼のギターとフランスを代表するアコーディオニスト、ダニエル・コランのアンサンブルを中心に、前述のピアニスト、グレゴリ・ヴー、コントラバスには自身のトリオのアルバムが日本では澤野工房からリリースされている、ジャン・フィリップ・ヴィレが参加しています。
さらに、昨年沖縄にコンサートで訪れた際、沖縄の楽器“三線”の魅力にはまったドミニックのアイディアで、その三線がM4、10に使われています。
また、M16は坂本九の名曲をフランス語でカヴァーしています。(「パリ・ミュゼット2」では中村八大作曲の「夢で会いましょう」をクレールがフランス語でカヴァーしました。)
素直でまっすぐなクレールの歌唱は、エヴァーグリーンでさわやかな風をそれぞれの曲に吹き込んでいます。とてもフレッシュなシャンソンをお楽しみ頂けるアルバムです。
■収録曲
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- 1. ムーラン・ルージュの唄(Moulin Rouge)
- 1952年のイギリス映画『ムーラン・ルージュ』(邦題は『赤い風車』)の主題歌。“ムーラン・ルージュ”はモンマルトルにあるキャバレーの名前。
- 2. 愛の讃歌(Hymne à l'amour)
- エディット・ピアフの名唱で知られる、ピアフ作曲の1949年の作品。最愛の恋人の突然の死に際し作られた。
- 3. 聞かせてよ愛の言葉を(Parlez-moi d'amour)
- 1930年度の第1回ディスク大賞を受賞した作品。切ない気持ちを語る様に歌った、ラブソングの名曲。
- 4. 私の回転木馬(Mon manège à moi)
- 1958年、エディット・ピアフがオランピア劇場に出演した際に、お披露目した楽曲。イブ・モンタンのヒットでも知られる。相手に対する溢れる思いを回転木馬に例えたラブ・ソング。
- 5. パリの空の下(Sous le ciel de Paris)
- 映画『巴里の空の下セーヌは流れる』主題歌。“パリの空の下に、唄は流れる”で始まる日本で最も馴染みのあるシャンソンの1曲。
- 6. バラ色の人生(La vie en rose)
- エディット・ピアフの大ヒット曲。ピアフ作詞のこの曲は当時の恋人への愛を歌い込んだ曲と言われる。
- 7. アコーディオン弾きの悲劇(L'accordéoniste sést tu)
- 本作のプロデューサー&ギタリストであるドミニック・クラヴィク作曲、なにやら思わせぶりな歌詞。
- 8. パリの恋人達(Les amants de Paris)
- 1984年、エディット・ピアフのヒット曲。“春、それは愛の季節”と歌われるさわやかな内容の曲。
- 9. 残されし恋には(Que reste-t-il de nos amours)
- ドミニック・クラヴィクがリード・ボーカルを取る楽曲。1942年、ナチス占領下のパリで作られた、遠い日の愛の追憶を歌っている。
- 10. 可哀想なジャン(La goualante du pauvre Jean)
- エディット・ピアフのために作られ、後にイヴ・モンタンも歌いヒットする。“お金があっても、愛がない人生なんて”と歌い込まれている。
- 11. サン・ジャンの私の恋人(Mon amant de Saint-Jean)
- 歌手リュシェンヌ・ドリールの持ち歌として知られる。若者達の束の間の恋を歌い込んでいる。
- 12. 古きパリの岸辺で(Sur les quais du vieux Paris)
- 11曲目と同じく、リュシェンヌ・ドリールの持ち歌として知られる。セーヌ川を歩く恋人達の風景が歌い込まれている。
- 13. 失われた踊り場(C'était bien(Le p'tit bal perdu))
- 1962年発売のこの曲は、1993年には同名の短編映画にもなった。
- 14. 小さな三つの音符(Trois petites notes de musique)
- 1960年のフランス映画『かくも長き不在』に登場する曲。実らなかった恋を歌い込んでいる。
- 15. あとには何もない(Il n'y a plus d'après)
- ジュリエット・グレコのレパートリーとして有名なこの曲は、サンジェルマン・デ・プレでの過ぎ去りし日々の回想を歌い込んでいる。
- 16. 見上げてごらん夜の星を(Viens voir la belle étoile)
- 坂本九のヒット曲をフランス語でカヴァー。フランス語タイトル“Viens voir la belle étoile”は“美しい星を見よう、見に行こう”となる。
■参加ミュージシャン
Vocal : Claire Elzière
Accordion, Bandoneon, Piano : Daniel Colin
Guitar : Dominique Cravic
Contrabass : Jean-Philippe Viret
Piano : Grégory Veux
Okinawa Sanshin : Kazutoshi Negishi