日本を聞いてみよう!
イギリス人が選曲した、世界から見た日本の音楽の面白さ!渋さ知らズからソウル・フラワー・モノノケ・サミットまで、これが世界に通用する日本の音楽だ!
「60年前の笠置シズ子にも今のオキのダブ・アイヌ・バンドにも共通しているのは、海外からの音楽の影響を受けながらも独自の文化をしっかりと持っていることだと思います。
一見めちゃくちゃな選曲のこのコンピレイションには聞き応えもあり、発見もあります。」
──ピーター・バラカン
■本作について
輸入盤で皆様にはお馴染みのワールドミュージック・ラフガイド・シリーズ。前作の第1弾が大好評だった「日本篇」の第2弾が発売になります。選曲は前作同様イギリス人音楽ジャーナリストのポール・フィッシャー。日本人ゆえに気付かない、世界から見た日本の音楽の面白さを伝えてくれる選曲になっております。
本作は民俗音楽のアルバムを意図したものではなく、いずれも現代の日本の音楽として、古典的〜民俗的な基盤を受け継ぎながらも、独自の創造性も持って、今の時代と見事に呼応している楽曲・アーティストを収録しております。それは例えば5曲目のアイヌ音楽のダブ・アレンジをお聞き頂くだけでも解ります。
本作は世界に通用する日本の音楽の好サンプルとも言えるでしょう。私達の足元にはこれだけ多彩で豊かな音楽があるのです。
■アルバム・プロデューサー、ポール・フィッシャー プロフィール
イギリス・ロンドン生まれのジャーナリスト。沖縄民謡をはじめとした日本のルーツ音楽を欧米諸国の音楽ファンに紹介するべく、1990年にファー・サイド・ミュージックを設立。CDのオンラインショップ経営を中心に、コンピレーション・アルバムの制作や日本人アーティスト(宮沢和史、ザ・ブーム、オキ・ダブ・アイヌ・バンド、琉球ディスコ、平安隆、シカラムータなど)の海外エージェント(ライヴやアルバム・リリースのコーディネイト)など、多くに携わる。ロンドンのFM局で自身の番組「Far Side Radio」を担当する他、BBCラジオにも多く出演している。1990年から2001年まで日本在住。
「日本の外では、この『Rough Guide to the music of Japan』の第1弾はベスト・セラーとなり、アルバムに収録されたアーティストの何人かは海外公演も行なった。日本国内では「今まで知らなかった日本のルーツ音楽を、このアルバムで初めて知った」というメッセージを若い音楽ファンからもらい、それが特に嬉しかった。今回のアルバムには、前作にも増して多くの音楽スタイルや斬新なミックス、よく知られたアーティストもそうでないアーティストも収録されている。日本のリスナーが、鮮烈かつヴァラエティに富んだ素晴らしい音楽シーンが日本に存在することを新たに発見してくれれば光栄だ。
──ポール・フィッシャー
■収録曲
試聴 クリックでウインドウが開きます。
- 1. 須賀 道子 『牛深ハイヤ節』 【民謡】
- 2. チャンチキ 『やがえふ』 【現代民謡】
- 3. 牧岡 奈美 『側家戸節』 【奄美民謡】
- 4. 平安 隆 『コザ恋歌』 【沖縄新作島唄】
- 5. オキ・ダブ・アイヌ・バンド 『イースト・オブ・国後』 【アイヌクラブ音楽】
- 6. 琉球アンダーグラウンド 『Shinkaichi (Saru remix)』 【沖縄クラブ音楽】
- 7. 登川 誠仁 『安里屋ユンタ』 【沖縄民謡】
- 8. ソウル・フラワー・モノノケ・サミット 『ああわからない』 【演歌(明治期)】
- 9. 生駒 一 『河内の竜』 【河内音頭】
- 10. 沢井 忠夫 『二つの変奏曲(さくらさくら)』 【箏曲】
- 11. 宮内庁楽部 『平調音取』 【雅楽】
- 12. 天台聲明と小馬崎達也&パンゲア 『後唄 』 【天台聲明】
- 13. 蓼胡津留 『腹の立つときゃ』 【小唄】
- 14. 国本武春&ザ・ラストフロンティア 『アパラチアン三味線』 【浪曲】
- 15. 笠置シズ子 『東京ブギウギ』 【歌謡曲(昭和)】
- 16. 都はるみ 『夕日坂』 【演歌】
- 17. あがた森魚 『東京節』 【大正流行歌】
- 18. 渋さ知らズ 『悪漢』 【日本のジャズ】
■収録アーティスト紹介
- 須賀道子
- 民謡歌手の須賀道子が歌う「牛深ハイヤ節」は熊本県天草市の牛深地区に伝わる民謡で、江戸時代(1603―1868年)後期に生まれたと言われている。牛深の港で出航を待つ船乗りたちをもてなすため、酒盛り唄として女性たちが歌い踊ったのがこの「牛深ハイヤ節」。その後、船乗りたちによって港から港へと全国に広められた。天草市では毎年4月に「牛深ハイヤ祭」を開催している。
- 民族楽団チャンチキ
- リーダーのたなかつとむ(三線、和太鼓、パーカッション)によって1998年に結成されたバンド。メンバーは池田昌紀子(ヴォーカル)、たこじ(ベース)、西はじめ(三味線)、佃康史(尺八)。ロックでファンクな民謡を聴かせる。
- 牧岡奈美
- 1983年、鹿児島県奄美諸島・喜界島生まれの民謡歌手。小学生の頃より島唄を歌い始め、16歳にして「名人位」に選ばれる。2002年にソロ・デビュー。2005年と2007年にリリースしたアルバムでは、洋楽器との見事なコラボレーションを実現し、奄美島唄の新境地を開いた。
- 平安 隆
- 沖縄県生まれ。10代の頃より米軍基地などでR&Bやファンクなどを演奏する。喜納昌吉&チャンプルーズにギタリストとして参加、ライ・クーダーが出演したチャンプルーズの名作『Blood Line』でも活躍する。1998年にソロ・デビュー。アメリカのスティ-ル・ギタ-奏者ボブ・ブロッズマンを始め世界中のミュージシャンと共演し、国内外で幅広く活動する。
- オキ・ダブ・アイヌ・バンド
- 最近の日本のワールド・ミュージック界で、海外進出度が一番高いといってもよいほど海外でも活躍するバンド。オキはカラフト・アイヌのトンコリ奏者。アイヌ音楽にダブやレゲエなど世界のルーツ音楽を織りまぜ、斬新なサウンドを展開している。「East of Kunashiri」はヨーロッパのフェスティバルでも大人気の1曲。
- 琉球アンダー・グラウンド
- キース・ゴードンとジョン・テイラーによるUK/USデュオ。沖縄民謡とエレクトロニカの絶妙なブレンドで、過去にリリースされた2枚のアルバムは瞬く間にヒット。2004年にはロス・ベースのDJ Saruをはじめシーンをリードするリミキサーたちが手がけたリミックス・アルバムがリリースされた。
- 登川誠仁
- 1932年生まれ、沖縄が敬愛してやまない沖縄民謡の大御所。三線の速弾き名手としても知られ「沖縄のジミ・ヘンドリックス」と呼ばれている。キャリアは1950年代に遡るが、1999年に出演した映画『ナビィの恋』をきっかけに、全国的に知られるようになった。
- ソウル・フラワー・モノノケ・サミット
- ソウル・フラワー・ユニオンが阪神大震災直後に結成したアコースティック・バンド。被災地で熱心に演奏活動を行なったことは有名だ。「ああわからない」は演歌師・添田唖蝉坊(1872―1944年)による1908年の作品。中川敬の力強い歌声が印象的。
- 生駒 一
- 河内音頭の現役音頭取り最高峰のひとり。1971年にコロムビア・レコードからデビューし、音頭の他に歌謡曲もよく歌っていた。「河内の竜」はよく知られたヒット曲のひとつ。
- 沢井忠夫
- 日本を代表する筝曲家の沢井忠夫(1937―1997年)による、やはり日本を代表する曲「さくらさくら」。伝統という枠や邦楽というジャンルを超えた幅広い活動は、59歳という若さでこの世を去るまで続いた。彼が残した作品の数々は、現在でも多くの演奏家に影響を与えている。
- 宮内庁楽部
- 明治3(1870)年に発足。現在は「宮内庁式部職楽部」とし、昭和30年に国の重要無形文化財の指定を受けた。千数百年の歴史を持つ雅楽を保持し、伝承する。宮中の儀式や諸行事に従事し、雅楽の他に洋楽も演奏する。
- 天台聲明、小馬崎達也&パンゲア
- ギタリストの小馬崎達也率いるパンゲアと天台宗の僧侶との共演。和楽器では琴の材料として知られる桐で作られたギターを用い、天台聲明との他を見ない美しい壮麗なアンサンブルを実現させている。
- 蓼 胡津留
- 小唄の巨匠、蓼 胡津留(たで こつる)による名演。原曲は、1800年頃には上方で歌われていたという。「腹が立って、茶碗酒を飲もうとするが飲めない」といった内容の歌で、粋な歌い回しに思わず酔いしれる。
- 国本武春&ザ・ラストフロンティア
- ロックやR&Bを取り入れ、常に浪曲の新境地を開いてきた浪曲師・国本武春。2003年から一年間のアメリカ留学中に結成した三味線入りのブルーグラス・バンドが、ザ・ラストフロンティア。この「アパラチアン三味線」では、ブルーグラスとの圧倒的なコラボレーションを見せつけている。
- 笠置シズ子
- 笠置シズ子(1914―1985年)は、「ブギの女王」として戦後に一世を風靡した大スター。「東京ブギウギ」は服部良一(1907―1993)が作曲し、1947年に発表されて大ヒット。当時の荒んだ庶民の心に明かりをもたらし、戦後の日本を象徴する歌として知られるようになった。
- 都はるみ
- 1964年にデビュー。「アンコ椿は恋の花」をはじめ数々のヒット曲を持つ、日本の演歌界のスター。人気絶頂時の1984年に一度は引退するも、1990年に復帰。以後、従来の演歌にとらわれない幅広い作品に取り組むなど、精力的に活動する。
- あがた森魚
- 1972年のデビュー以来、大正や昭和のロマンを彷佛とさせる独特な音楽世界を創り続けるシンガー・ソングライター。この「東京節」は1920年代の大正期に流行った歌で、アメリカ民謡「マーチング・スルー・ジョージア」の替え歌である。久保田麻琴のプロデュース作品。
- 渋さ知らズ
- ジャズ・ベーシストとしても活動する不破大輔を中心に、1989年に結成された大型バンド。ジャズやロック、パンク、ポップスなどが混在する音楽に舞踏や美術、映像などシアター的要素が融合した非常にユニークな集団。海外での人気も高く、フェスティバルでも活躍している。