ロス・カンペーロス・デ・バージェス

「メキシカン・セレナーデ」

「メキシカン・セレナーデ」
タコスとコロナビールの国、メキシコにようこそ!
メキシコ音楽の神髄をお聞き頂けるアルバムです。

■本作について

あのピーター・ガブリエルが惚れ込んだ、メキシコを代表するグループによる、素晴らしい演奏を収録しました。

  1. ピーター・ガブリエルのスタジオ“リアル・ワールド”で録音された作品です。
  2. 本作のサウンドはメキシコ音楽の主流、マリアッチと並ぶ代表的な音楽であるメキシカン・ソン(ソンは英語のサウンドと同じ語源であり、「ひびき」という意味のスペイン語)です。音楽形式名としてはキューバにもありますが、メキシコでは各地の民族舞曲の総称として使われます。メキシコ音楽のCDで何か一枚と言われた時に、安心してオススメ出来る作品です。
  3. 本グループのメンバーと楽器構成は、①エリオドーロ・コパード=ヴァイオリン(メキシコ音楽には欠かせません)。②マルコス・エルナンデス=ギターラ・キンタ(8弦ギター)、ボーカル。③グレゴーリオ・ソラーノ=ハラーナ(小型5弦ギター)の伝統的アコースティック・スタイルです。
  4. 本グループは1975年に結成され、メキシコ国内はもとより、国際的に活動しているグループです。
  5. 収録曲はほとんどがトラディショナル曲です。地元ではダンスナンバーとして演奏されています。
  6. メキシコの魂を凝縮した音楽に是非触れて下さい。

■収録曲

試聴 クリックでウインドウが開きます。

1. ラ・パシオン(情熱)
「友よ、情熱にうかされて、愛を信じてはいけない。美しい女を見たら、とにかく行動に出ること」と歌われている。
2. エル・サカマンドゥ
「アイラララ〜、いつふさがるのか、雄牛サカマンドゥの角がわたしに残した傷口は」と歌われる思わせぶりな曲。
3. エル・カバージョ(馬)
「おれの黒く輝く馬。もう年をとって、おしまいなのかもしれない。惚れっぽくて、牝を追いかけまわしていたのに、長年働いて疲れきってしまった」と歌われている。
4. ラ・プレスミーダ(うぬぼれてる女)
着飾ったうぬぼれ女に対して「そんなに気取って、高望みばかりしてどうするんだい?ひねくれた心のまま死んでゆくよりも、まじめにこの人生を、そのまま受け入れてゆくほうがいいんじゃないかな?」と歌われている。
5. エル・サンロレンソ
「ウクステーカ(このグループの出身地)は素晴らしい、エデンの園のような土地。山もあれば平原もあり、自然も女性も美しい」と歌われている。
6. 3つのウワステーカ
ウクステーカ地方の3つの州、サンルイス・ポトシー、イダルゴ、ベラクルースを女性にたとえて賛美する内容の歌である。
7. エル・テペスィントレーコ
「おれは最高の布地から、いちばんいいリボンを切り取った。おれは生粋のテペスィントラ(町の名前)男。おれを頼りにしておくれ」と歌われている。
8. エル・ファンダンギート
タイトルは「いとしいファンダンゴ」というニュアンス。「歌うためのファンダンギートはソンの王様。聴くとだれでも踊りたくなる」と歌われている。
9. ラ・マラゲーニャ
タイトルは「マラガの女」で、彼女の眼の美しさを讃え、「おれを見ておくれ」と願う歌詞。
10. うるわしのウワステーカ
「このグループの出身地=ウクステーカよ、おまえは幸せ者。素晴らしいウクパンゴ(歌謡曲)はあるし、美しい女性たちもいるし」と歌われている。
11. エル・ウエルファニート(みなしご)
自分のすべてを与えてくれた母親を、亡くしてしまった男の物語。
12. ぼくのウワステーカ娘
ウクステーカの音楽を礼賛し、踊るウクステーカ娘を讃えている。
13. エル・カイマン(わに)
ワニが茂みの中から這い出てきて日光浴をする光景を描いている。但しこの曲には2重のニュアンスがあり、ワニはアダムの息子であり、イヴの娘に興味をそそられているとも歌われている。
14. エル・グスト
タイトルの「エル」は定冠詞。「グスト」はふつうのスペイン語で「味」。転じて「おいしいもの、お気に入りのもの」といったニュアンスになる。
15. ラ・ウワサンガ
ウワサンガとはこの地方のスラングで「大騒ぎのパーティ」を指す。大量の酒のボトルがどんどん空になってゆくのが目に見えるようだ。

※曲の解説は本アルバムのライナーノーツの執筆者、高橋将美氏の原稿より一部を引用しました。



■アーティストプロフィール

1975年に結成。リーダーは美声の歌手であり、ギターラ・キンタを弾くマルコス・エルナンデス。彼に並ぶスター、ヴァイオリン奏者エリオドーロ・コパードは1939年生まれ。ハラーナ奏者で歌い手のグレゴーリオ・ソラーノは、二人より若い世代で、10年ほど前にこのトリオに参加。結成と同時にファースト・アルバムをレコーディングし、現在までに本作を含めて3枚のアルバムをリリースしている。
本アルバムはワールドミュージックのフェスティバル“WOMAD”に出演した際に、ピーター・ガブリエルが所有するリアル・ワールド・スタジオで収録された。2004年にヴァイオリン奏者のエリオドーロがツアー中に脳梗塞で倒れ、ヴァイオリンが弾けなくなった為、彼の業績を讃え、また経済的に援助する為にリリースされた。