イタリア・ナポリ発のマンドリン・オーケストラ。
美しいマンドリンのアンサンブルが奏でるイタリア音楽の新境地です。
■本作について
マンドリンの生まれ故郷、イタリア・ナポリで1992年に結成された、16人編成によるナポリ・マンドリン・オーケストラのデビュー作品です。
日本でも馴染み深いナポレターナ(ナポリ独特の訛りで歌う歌)の名曲をマンドリンのアンサンブルでお届けします。イタリアと言えば本作にも収録されている「オ・ソレ・ミオ」などを朗々と歌い上げるスタイル、カンツォーネがよく知られていますが、本作はそれとはまた違ったフレッシュな音楽性が感じられる作品です。
ナポリにはナポリ・マンドリン・アカデミーと呼ばれるマンドリン教育の施設がある程、マンドリンの演奏が盛んな地域ですが、マンドリンのオーケストラとなると今のところ本オーケストラのみで、ナポリ・マンドリン・アカデミーの後援のもとに活動して来ました。
イタリア伝統音楽に新たな息吹を与える作品として、ナポリ・マンドリン・オーケストラのアンサンブルと、各曲の素晴らしいアレンジをお楽しみ頂ける作品です。
■ナポリ・マンドリン・オーケストラについて
ナポリ・マンドリン・オーケストラはナポリに設立されたナポリ・マンドリン・アカデミーのいちセクションとして成立しており、同アカデミーの精鋭たちを中心に編成されたオーケストラです。
1992年以降、約10年間に渡りアメリカ、フランス、ウルグアイ、ドイツなど世界各国で演奏して来ました。そして2003年にレコーディングされたのが本作品です。
本作で聴かれる楽器構成はファースト・マンドリンンが3人、セカンド・マンドリンが2人、マンドラ(マンドリンの1オクターブ下の中音域をカヴァーします)が2人、マンドリンチェロ(低域をカヴァーします)が2人の合計9人のマンドリンに、2人のギター、ベース、フルート、クラリネット、パーカッション、カスタネット奏者が7人の合計16人の編成です。
なお、本作ではゲストとして2人のヴォーカリストが参加しております。
■収録曲
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- 1. A mmorte 'e subbeto ア・モルテ・エ・スッベート
- 本作のテーマ・ソングともいえる楽曲で、この曲のみアントネッロ・パリオッティ(本オーケストラの創立者の1人)によるオリジナル曲です。まるでマーチング・バンドのようなアレンジで、これからはじまるマンドリン・オーケストラの旅への序章のようでわくわくとした気分にさせてくれます。
- 2. Funicul funicul フニクリ・フニクラ
- 「鬼のパンツは破けない〜」という日本独自の替え歌で有名な曲ですが、実はこの曲は世界最古のコマーシャル・ソングだという由来がありました。1880年にトーマス・クック旅行会社により敷設されたヴェスヴィオ火山の登山鉄道フニコラーレ(ケーブルカー)の宣伝用に作られた曲です。
- 3. Era de Maggio 5月だった
- 1885年にパスクアーレ・マリオ・コスタにより作られたこの曲は、ナポレターナを代表する作詞家のサルヴァトーレ・ディ・ジャコモが歌詞を書いた珠玉のバラードです。5月に戻ると約束していた恋人が、いつになっても戻らないという寂しい気持ちを歌った曲です。
- 4. Mmiez''o ggrano こおろぎの鳴く頃
- エドアルド・ニコラルディの作詞、エヴェメーロ・ナルデッラの作曲により1909年に作られたこの曲は、直訳した別名「麦の中で」あるいは「麦畑で」としても知られています。本作ではブルネッラ・セロによる美しいヴォーカルが入りますが、こうした歌の後ろでひたすら鳴り響くマンドリンのトレモロ効果が素晴らしいです。
- 5. La Danza ダンス
- ロシアの作曲家「オペラのロッシーニ」ことジョアッキーノ・ロッシーニが現役引退後の1835年に作曲した組曲『音楽の夜会』の8曲目です。マンドリンの高度な演奏技術を目の当たりにすることが出来るこの曲は、まるでナポリ・マンドリン・オーケストラのための曲であるかのように、いきいきとして活発な演奏が堪能出来ます。
- 6. 'O sole mio オ・ソレ・ミオ
- ナポレターナといえば、この曲といわれるほど世界的に浸透している代表曲です。この曲は1898年にエドアルド・ディ・カプア作曲、ジョヴァンニ・カプッロ作詞により作られ、ナポリのピエディグロッタ音楽祭で第2位に入賞した曲です。原題は「私の太陽」という意味です。
- 7. Tarantella cu Pulicenella タランテッラ・ク・プリチェネッラ
- この曲は比較的新しい曲で、ギターの名手エドゥアルド・カリエンド(1922-1993) により作曲されたものです。ここでも陽気なタランテッラ(舞踏曲)を聴くことが出来ます。
- 8. 'A cartulina 'e Napule ナポリへの手紙
- ジュゼッペ・デ・ルカ作詞、フランチェスコ・ブォンジョヴァンニ作曲によるバラードです。別名「ナポリの絵はがき」と題されたこの曲、マンドリンの重奏によるトレモロが心地良く響きます。
- 9. Tarantella タランテッラ
- タランテッラという名前は、速い8分の6拍子による3連符の音階を持つ舞踏曲のことを指します。この曲はトラディショナル・ソングですが、20世紀の偉大なるヴァイオリニストのルッジェーロ・リッチによって広く紹介されました。
- 10. Mare 'e Margellina マルジェリーナの海
- ラッファエーレ・ヴィヴィアーニが1928年に喜劇「カーニバルの死(Morte di Carnevale)」のために書き下ろした曲です。
- 11. Torna a Surriento 帰れソレントへ
- 1902年にエルネストとジャン・バティスタのデ・クルティス兄弟により作曲された近代ナポレターナの名曲のひとつですが、実はこの曲もソレント岬に立つインペリアル・ホテル・トラモンタートのコマーシャル・ソングとして作られたものでした。その後歌詞の内容を愛の歌に変更して出版したところ大人気となり、今日に至っています。
- 12. Marechiare マレキアーレ
- 1885年にイタリア歌曲作家であるフランチェスコ・パオロ・トスティと作詞家のサルヴァトーレ・ディ・ジャコモのコンビで作られたセレナーデです。タイトルはナポリ郊外のマレキアーレ海岸のことです。
- 13. Lu Cardillo ひわ
- 19世紀の作家、ピエトロ・ラブリオーラの作曲、エルネスト・デル・プレイテ作詞による作品です。この曲も少し寂しげな雰囲気を持っており、マンドリンによるトレモロが涙を誘います。
- 14. A mmorte 'e subbeto ア・モルテ・エ・スッベート
- 再び本作のテーマ・ソングのリフレインです。