琉球アンダーグラウンド
「シマデリカ」
自分達が聞いてきた1960年代、70年代から90年代初期のロック、ファンク、ダンス、クロスオーバー・ミュージック、そしてブライアン・ジョーンズタウン・マサカー(BJM)など最近愛聴しているサウンドのエッセンスと沖縄民謡をミックスしたいと思ったんだ。
(メンバーコメント)
世界一、沖縄の心が分かっている米国人と英国人かも。(中略)今まで以上に肩の力が抜けた自然体で、ディープなダブから、流麗なサイケデリック・トランス、さらにブラジリアンやシタールを使ったアラビックのフレイヴァまでを、すっきりと沖縄音楽と融合させる才はさらに磨きがかかったマエストロの域。アレンジも、よりジェントルかつロマンチックに洗練度を増した。似た路線を行く日本人のはるかに上を行く手腕にはジェラシーも感じるが、この偉大な開拓者の業績には、最大限のリスペクトを捧げたい。
──『ミュージックマガジン』5月号より引用しました。
クラブミュージックと沖縄民謡のミクスチャーを試みたファースト・アルバム(2002年3月リリース)が大きな話題となり、その後の沖縄音楽シーンに大きな影響を与えたユニット、アメリカ人のジョン・テイラーとイギリス人のキース・ゴードンによる琉球アンダーグラウンド。心から沖縄を愛する2人が、3年振り(セカンド・アルバムは2003年4月リリース)になるオリジナルアルバムをリリースします。
「ファースト・アルバムは既にリリースされている沖縄民謡のアルバムから、サンプリングして制作しました。セカンド・アルバムからはサンプリングではなく、歌、三線を録音する最初のレコーディング・プロセスから、地元沖縄のミュージシャンと一緒にスタジオに入って作り始めました。今回も同様に沖縄を代表する若手ミュージシャンよなは徹(三線、琉琴、太鼓を担当)を始め、僕の大好きな大東島出身の内里美香、琉球ディスコでも活躍中の仲村奈月、もうすぐアルバムを出す上間綾乃の三人のボーカリストとレコーディングする事からスタートしました。」(キース)
「選曲に関しては、まず僕とジョンでアイデアを出し合い、(内里)美香とも相談して決めました。アルバムのM7・M9は美香のアイデアです。M1の曲を美香にリクエストした時は、ずいぶん渋い曲を知っているねと言われましたよ。」(キース)
「僕らにとってそれぞれの曲調もさる事ながら、歌詞についても関心があります。M3のネーネーズのヒットチューンをセレクトした理由は、僕が大阪に住んでいた頃、歌詞の内容を聞いて、とても興味を持ち、今の時代にこそ届けたい歌だと考えました。」(キース)
「今作のサウンドについてですが、実は3年前に1960年代製のvoxのチーターというギターとアンプ、1967年製のフェンダーの12弦ギター、ジミ・ヘンドリックスも愛用していたカラーサウンドのワウワウ・ペダルを手に入れた事から、サウンド面に於けるアイディアが出て来ました。例えばM9で聞かれるギターサウンドはまさにそうです。」(ジョン)
「僕たちがこれまで聞いてきたさまざまなジャンルの多彩なサウンドと、沖縄音楽がミックスした、従来の作品よりカラフルな色調のサウンドになりました。今作を聞くと、僕たちの音楽ルーツも解ってもらえると思います。」(キース)
「今作ではたくさんギターを弾きましたよ。もちろんベース・ギターもね。前作と比較してよりオーガニックなサウンドになったと思います。」(ジョン)
「前作でも言いましたが、僕達のやろうとしている事は、沖縄民謡と極めて21世紀的なクラブ・ミュージックのミクスチャー。それは僕ら、イギリス人とアメリカ人が沖縄を愛し、沖縄音楽を伝える方法として、僕らのスタンスに立って出来る、とても自然な音楽スタイルです。」(キース)
彼らの好きなグループ、プライマル・スクリームの名作「スクリーマデリカ」からアイディアをもらいました。「シマ(島)デリカ」。但しサウンド面での関連性はありません。
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