サンテ・トゥルジ

「ナポリ、想いあふれて」

Sante Tursi“DEDICATO ALLA MIA AMATA NAPOLI”

「ナポリ、想いあふれて」
ギターが奏でる情感溢れる、ナポレターナ名曲集!

■本作について

「ナポリの美しさは、あらゆる描写を超えている」これはゲーテの言葉です。
少なくとも一生に一度はナポリを訪れよ。ナポリを見ずしてナポリを語ることは不可能であることを言っています。ナポリには、喜劇と悲劇、富と貧困、市民と貴族、オペラとナポレターナ、こうした一見矛盾したものが日常の中に色濃く存在しています。そこで生まれたナポレターナにも、さまざまな人生のドラマが歌われています。私はナポリとナポレターナを深く愛しており、その思いから今回のアルバム制作に至りました。

──マウロ・スクイッランテ


マンドリン奏者のマウロ・スクイッランテと制作した「イタリアの四季シリーズ」四部作で、情感溢れる演奏を聴かせてくれた、イタリアを代表するクラシックギタリスト、サンテ・トゥルジ。1990年の東京国際ギター・コンクールで優勝し、その実力と知名度を確かなものとし、世界的にも高い評価を得ました。これまで3枚のアルバムをリリースし、今作が4作目となる本作品では収録曲21曲中、19曲がナポレターナです。元々、ナポリとその音楽に深い関心と愛情を抱いていた事から、今作の制作に至りました。

サンテ・トゥルジの巧みな演奏が、「オー・ソレ・ミオ」「サンタ・ルチア」「フニクリ・フニクラ」「五月だった」などお馴染みのナポレターナに新たなる生命を与えています。

なお、収録の19曲のナポレターナは、4人のギタリストが編曲したスコアを元に演奏されています。1人は、サンテ・トゥルジが若かりし頃ギターを学んだ、ベネズエラのクラシックギタリストのアリリオ・ディアスで、彼が編曲したナポレターナの楽譜集から10曲を演奏しています。これは2016年に亡くなった、アリリオへのオマージュと言えます。ほかに、ローマ生まれのギタリストのマリオ・ガンジ、プーリア生まれのクラシックギタリストのヴィート・ニコラ・パラディーゾ、そしてルイジ・モルレオがそれぞれ編曲したスコアが使われています。

ギターが奏でる、素晴らしきナポレターナ名曲集の誕生です。


■収録曲

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1. A vucchella 可愛い口もと
作曲:F. P. TOSTI 編曲:A. Diaz
1892年発表。この曲の歌詞では、主人公が1人の女性を褒め称えます。なぜなら、シナモンの香りがする彼女の小さな唇からキスが欲しいからです。
2. O sole mio オー・ソレ・ミオ
作曲:E. DI CAPUA 編曲:V. N. Paradiso
1898年発表の、世界で最も有名なナポレターナです。
3. Palummella パルメッラ
作曲:不詳 編曲:M. Gangi
1700年代終わり頃に発表されたナポレターナ。自分に代わって愛する女性にキスを届けて欲しいと、1匹の蝶に頼みます。
4. Tarantella di Giuliani ジュリアーニのタランテッラ
作曲:M. GIULIANI
19世紀前半に発表された、タランテッラ=南イタリアのダンス曲です。
5. Te voglio bene assaje 激しく愛す
作曲:F. CAMPANELLA 編曲:M. Gangi
1839年発表のこの曲をサンテ・トゥルジは、すべてのナポレターナの母とも言える曲だとコメントしています。
6. L'anello 指輪
作曲:不詳 編曲:A. Diaz
作者不詳。サンテはこの曲を、人々の魂よりほとばしるダンス曲だとコメントしています。
7. Santa Lucia サンタ・ルチア
作曲:T. COTTRAU 編曲:A. Diaz
1848年発表。この曲のタイトルである「サンタ・ルチア」とは、ナポリ湾に面した地区のことです。
8. So le sorbe e le nespole amare 木の実は苦く
作曲:L. VINCI 編曲:M. Gangi
18世紀前半に発表されたこの曲は、果物と女性の類似性を歌っています。
9. Tarantella for Shegué No.5 ストリート・チルドレンに捧げるタランテッラNo.5
作曲:L. MORLEO
この曲は、現代音楽家で打楽器奏者でもあるルイジ・モルレオ作で、ナポリの古典ダンス曲の伝統を、現代的な表現にしました。
10. La Luisella ルイゼラ
作曲:G. COTTRAU 編曲:A. Diaz
1856年発表。「女性庭師ルイゼラ」または「ルイゼラの美しさ」というタイトルでも知られる、とても生き生きとした曲です。
11. Resta cu' mme 哀願
作曲:D. MODUGNO 編曲:V. N. Paradiso
1958年発表の、熱い思いを込めた愛の歌です。
12. Marechiaro マレキアーレ
作曲:F. P. TOSTI 編曲:V. N. Paradiso
1885年発表。月明かりの下に姿を見せておくれと、恋人に誘い出される女性の事を歌った愛の歌です。
13. Lu cardillo ひわ
作曲:不詳 編曲:M. Gangi
1849年発表。サンテはこの曲を、希望のない愛がテーマとなっている、とコメントしています。
14. Fenesta vascia 下の窓
作曲:不詳 編曲:A. Diaz
作者不詳のこの曲は、愛する女性が窓際に現れるのをひたすら待つ男のことを歌っています。
15. Funiculì funiculà フニクリ・フニクラ
作曲:L. DENZA 編曲:A. Diaz
1880年発表のこの曲は、世界最古のCMソングです。
16. Graziella グラツィエラ
作曲:不詳 編曲:A. Diaz
作者不詳のこの曲は、恋人に裏切られ、失望した男の胸の内が描かれています。
17. Tu si na cosa grande 素敵なあなた
作曲:D. MODUGNO 編曲:V. N. Paradiso
「ボラーレ」の作者でもある、ドメニコ・モドゥーニョ作のこの曲は、1964年のナポリ音楽祭優勝曲です。
18. Michelemmà ミケレンマ
作曲:不詳 編曲:A. Diaz
1650年頃の発表。イスキア島で生まれた美しい少女を歌った歌であり、男達は誰もがこの少女に首ったけになる、という曲です。
19. Tu ca nun chiagne 泣かないお前
作曲:E. DE CURTIS 編曲:A. Diaz
1915年発表。ある男の失恋を描いていた曲です。
20. Saltimbanco サルティンバンコ
作曲:不詳 編曲:A. Diaz
作者不詳のこの曲のタイトルは、かつて広場などで芸を披露していた曲芸師や大道芸人のことです。
21. Era de maggio 五月だった
作曲:M. P. COSTA 編曲:L. Morleo
1885年発表。5月に離れ離れになった恋人が、再び5月に同じ場所で再会するであろう、と歌われています。


■サンテ・トゥルジプロフィール

イタリアのプッリャ州の州都バーリの生まれ。セゴビア、東京、ドイツ、ポーランド、スペイン、ペルー、アルゼンチン、ルーマニア、チリ、イギリス、ロシア、メキシコなど世界中でコンサート活動を行っている、イタリアを代表するギタリスト。1990年東京国際ギターコンクール優勝者として日本でも人気がある。2018年には、「ナポリ・マンドリン・オーケストラ」のメンバーとして来日する。また、マンドリン奏者のマウロ・スクイッランテとのデュオ作「イタリアの四季」シリーズ4部作でも好評を博す。