歌・三線:松田弘一、徳原清文、内里美香、村吉茜

「失われた海への挽歌 2019」

琉琴:浜川恵子/笛:金城裕幸/アルバムプロデュース:小浜司

松田弘一、徳原清文、内里美香、村吉茜「失われた海への挽歌 2019」
失われゆく美しい沖縄の海へ、万感の思いを込めて──

沖縄民謡界のベテラン松田弘一、徳原清文と、若手実力派の内里美香、村吉茜による全30曲、2枚組の感動作!


■アルバム内容

“海は素晴らしい 自然の恵みをもたらす 海洋民族の情け 幾世までも”(失われた海への挽歌2019)

海に抱かれて生きた人々が紡ぎ出した、さまざまな物語を歌った「海と人」をモチーフにした曲を収録しました。 今こそ、多くのリスナーに届けたいアルバムです。

今回リリースのアルバム・コンセプトは、竹中労氏制作、嘉手苅林昌の歌・三線を中心にした、1975年発表のアルバム「失われた海への挽歌」が元となっています。このアルバムに込められた竹中氏の思いは、「沖縄(琉球)は、もと海洋独立国家であり、船で世界に橋を架け、南島に独自の文化をつくり、大和(日本本土)への三味線の道を開いた、そんな古の琉球への郷愁と、いま一つは“祖国復帰”以後、日々に汚染されて、むかしの面影、元姿を失っていく海への哀惜」です。さらに「ここに収録された歌は、いま沖縄の海を奪い汚す者への、はげしい告発の“うた”となる。」とも記されています。

当時の竹中氏の思いは、近年ますます重みと切実性を増しています。そこで今こそもう1度、新たなる選曲と録音により、2019年版「失われた海への挽歌」を制作し、海と共に生き、繁栄した琉球の歴史と、そこに生きた人々の姿を伝えられればと思いました。そしてそれは、竹中氏が先のアルバムに込めた思いとメッセージも、伝えることとなります。 収録曲は海に抱かれて生きた海洋民族、琉球の人々が紡ぎ出したさまざまな物語を歌い込んだ琉球民謡を中心に、一部奄美民謡も収録しました。

アルバムに参加してくれたのは、沖縄民謡界のベテラン松田弘一、徳原清文と、若手注目株の内里美香、村吉茜です。 今作の制作趣旨に賛同を寄せて頂いた上で、各自の海への思いを引き出しながら、情感溢れる素晴らしい歌と三線を聴かせてくれます。 また、ゲスト演奏者の琉琴の浜川恵子、笛の金城裕幸の演奏も大きな花をアルバムに添えてくれました。 辺野古を始め、多数の美しい沖縄の海が失われつつある今こそ、海洋民族=琉球民族の海に寄せる情けを歌い込んだ、民謡の数々に込められたメッセージを是非お聴きください。

「海への回帰も“島うた=沖縄民謡”のもう1つのテーマである。多くの離島からなる琉球列島の生活は、海なくして成り立たない。歌もまた然り。」──プロデューサー:小浜司


■収録曲

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CD 1

① 失われた海への挽歌 2019(ジントーヨー小)
補作詞:小浜司、作曲:琉球民謡
歌・三線:松田弘一、徳原清文、内里美香、村吉茜
失われていく辺野古、山原の海への深い愛惜、世界一美しい海にコンクリートが注がれる。本作のテーマともなる曲です。
② パラダイスうるま島
作詞・作曲:黒島英章
歌・三線:内里美香、村吉茜/島太鼓:松田弘一/囃子:村吉茜/三板&囃子:内里美香
うるま島=沖縄。夢の竜宮、うるま島の豊かさを歌い込んだ曲です。
③ 勝連節〜伊計離り節
琉球民謡
歌・三線:松田弘一、徳原清文/島太鼓・囃子:内里美香/三板・囃子:村吉茜/指笛:金城裕幸
④ だんじゅかりゆし
琉球民謡
歌・三線:松田弘一/島太鼓:村吉茜/三板&囃子:内里美香
“こんなにも縁起の良い日を 選んで船を出す”と歌い込まれた、海洋民族国家、琉球のならではの一曲です。
⑤ 伊良部トーガニー
琉球民謡
歌・三線:徳原清文/琉琴:浜川恵子/笛:金城裕幸
宮古島から伊良部島へ、船上にて愛を語る曲です。
⑥ 浜育ち
琉球民謡
歌・三線:村吉茜/三線:徳原清文/琉琴:浜川恵子/笛:金城裕幸
浜千鳥に託した望郷の思いを歌い込んでいます。
⑦ 仲島節
琉球民謡
歌・三線:徳原清文/琉琴:浜川恵子
仲島遊郭で出逢った愛しい人への思い。“波の音と共に 誰を思って鳴くの”、と千鳥に問いかけます。
⑧ やっちゃー小〜屋嘉ぬ浜
琉球民謡
歌・三線:松田弘一/島太鼓:内里美香/三板:村吉茜
恋の歌のメドレー。やっちゃー小とは、ねぇ貴方との呼びかけです。
⑨ 与那国小唄
作詞:与那国女子青年団・宮良泰平 曲:与那国民謡
歌・三線:内里美香、村吉茜/太鼓:村吉茜/琉琴:浜川恵子
与那国島讃歌の曲です。
⑩ ましゅんく節
琉球民謡
歌・三線:松田弘一/太鼓・囃子:内里美香/三板・囃子:村吉茜
伊江島の若者たちが、ましゅんくとなびーの2人の美人の話で盛り上がっています。
⑪ 平安名の真津小
宮古民謡
歌・三線:徳原清文/琉琴:浜川恵子/笛:金城裕幸/島太鼓:村吉茜/三板:内里美香
平安名村の真津小(マチガマ)なる美女を巡る物語です。
⑫ 白保節
琉球民謡
歌・三線:松田弘一/太鼓:村吉茜/三板&囃子:内里美香
石垣島の白保にて、豊年満作を祈願します。
⑬ 嘆きの渡り鳥
作詞・作曲:川田松夫
歌・三線:徳原清文、村吉茜/琉琴:浜川恵子
渡り鳥に母への思いを託します。
⑭ 新鳩間節
作詞:星 克/作曲:琉球民謡
歌・三線:徳原清文/島太鼓:村吉茜/三板:内里美香/琉琴:浜川恵子/笛:金城裕幸
八重山諸島、鳩間島の讃歌です。
⑮ 渡海ふぃじゃみ節
作詞:内里明美/作曲:松田弘一
歌・三線:内里美香/三線:松田弘一/笛:金城裕幸
内里美香の母の作詞。海を隔てた恋の物語です。

CD 2

① 前海スィンボーラー
琉球民謡
歌・三線:徳原清文
沖縄民謡の定番曲「海のチンボーラー」の元となった曲です。
② でんすなー節
補作詞:登川誠仁/曲:琉球民謡
歌・三線:松田弘一、内里美香/島太鼓:村吉茜/琉琴:浜川恵子
③ 毛遊び千鳥
琉球民謡
歌・三線:松田弘一/島太鼓:内里美香/三板:村吉茜
愛しい人を思い、いてもたってもいられない思いを歌い込んだ遊び歌です。
④ 永良部百合の花
作詞:山口禎喜/補作詞:武田恵喜光/曲:奄美民謡
歌・三線:内里美香、村吉茜/囃子:村吉茜/島太鼓:内里美香
永良部島の特産、百合の花に寄せる誇りを歌い込んでいます。
⑤ 海ヤカラー〜スーリー東
補作詞(海ヤカラー):滝原康盛/琉球民謡
歌・三線:松田弘一/島太鼓・囃子:村吉茜/三板:内里美香
「海ヤカラー」とは、漁の上手い人を指します。
⑥ 南洋浜千鳥
補作詞:松田弘一/作曲:伊良波尹吉
歌・三線:村吉茜/三線:内里美香/琉琴:浜川恵子
故郷への望郷の思いを歌い込んでいます。
⑦ 屋慶名クワディーサー
琉球民謡
歌・三線:松田弘一、徳原清文/島太鼓:内里美香/三板:村吉茜/指笛:金城裕幸
屋慶名とは、平安座、浜比嘉、宮城、伊計の各島と、津堅島を結ぶ海の要衝です。クワディーサーはももたまなの木の事です。
⑧ 遊びションガネー〜貫花
琉球民謡
歌・三線:徳原清文/琉琴:浜川恵子/笛:金城裕幸
赤い情熱の貫花をあなたに掛けてあげたい、と歌い込まれています。
⑨ 多良間ションガネー
琉球民謡
歌・三線:徳原清文/琉琴:浜川恵子/笛:金城裕幸
多良間島に赴任してきた役人と、島の娘の物語を歌い込んでいます。
⑩ てんよー節(中立ぬみかがま)
琉球民謡
歌・三線:松田弘一/島太鼓&囃子:村吉茜/三板:内里美香
宮古民謡の「中立ぬみかがま」が元歌となった、エイサーの代表曲の1つです。
⑪ 白鳥小節
琉球民謡
歌・三線:徳原清文/琉琴:浜川恵子
空を飛ぶ白鳥に、愛する人への思いを託します。
⑫ 今帰仁ぬ城〜イマサンニン
琉球民謡
歌・三線:松田弘一/島太鼓:村吉茜/三板・囃子:内里美香
エイサーの代表曲の1つです。「イマサンニン」は愛しい女性への思いを歌い込んでいます。
⑬ 十番口説
琉球民謡
歌・三線:松田弘一、徳原清文
さまざまな善行を歌い込んだ教訓歌です。
⑭ 取納奉行
琉球民謡
歌・三線:松田弘一/島太鼓:村吉茜/三板&囃子:内里美香
取納奉行とは徴税監督官のことです。あの手この手で、税金の納付を低くしてもらおうと考えるさまを歌い込んでいます。
⑮ 平安節〜久高節
琉球民謡
歌・三線:徳原清文、/三板:村吉茜/島太鼓:内里美香
アルバムのフィナーレは、海上穏やか一路平安で無事な航海を祈願する「平安節」と「久高節」のメドレーです。実り多き船旅を!


■松田弘一 プロフィール

1947年北谷町生まれ。父親が琉球古典音楽師範であったこともあり、幼い頃より三線を覚える。12、3歳の頃は民謡のど自慢に出たり、ギターを自己流で習得し、ロックバンドを結成したりした。並行して村のエイサー行事を先導した。二十歳過ぎて津波恒徳に師事して本格的に民謡に取り組む。本CDの「渡海ふぃじゃみ節」(作曲)や「島情話」(作詞作曲)など、オリジナル新作民謡を100曲以上創作している。民謡ユニット「ザ・フェーレー」の親分として活躍中。

■徳原清文 プロフィール

1949年旧与那城町(現うるま市)饒辺出身。父親の影響もあり、中学時代から三線に親しむ。エイサーなどで村の行事に三線で参加。そんなある日、登川誠仁の生の演奏に触れて「これだ!」と思いすぐに師の門を叩き弟子入り。メキメキ頭角を表し、登川師の右腕として沖縄芝居の地謡をつとめる傍ら、民謡クラブで歌う。79年、知名定男主催「新進芸術家協会」(略称:新芸会)に参加。民謡男性4人組ユニット「ザ・フェーレー」のメンバー(リーダー)として活躍。99年、沖縄県指定無形文化財琉球歌劇保持者に認定される。

■内里美香 プロフィール

1980年、南大東島に生まれる。幼い頃から島唄に興味を持ち、新垣則夫師の門を叩く。高校進学のため沖縄本島に渡る。高校二年、ナークニー大会優勝(最年少記録)。2002年、琉球フェスティバルに参加。1999年、デビューアルバム「たびだち」をリリース。2001年にはラジオ沖縄「新唄大賞」で大賞を受賞する。2004年、セカンドアルバム「風のションカネー」をリリース。

■村吉 茜 プロフィール

1988年久米島出身。母親も民謡歌手で、祖父は南大東島で「ボロジノ娘」などを指導している新垣則夫翁というサラブレッド。14歳で稲嶺けい子に師事し、民謡を学ぶ。15歳、高校進学の為本島に暮らす。山内昌春や祖父に師事して本格的に歌の道に取り組む。17歳、「美童の花」(作詞作曲/新垣良実)を歌い、ラジオ沖縄新唄大賞グランプリ受賞。20歳では、イギリス、シェフィールド大学「ワークショップ沖縄」にて、沖縄若手歌手を代表して歌う。