沖縄音楽の魅力、再発見!—琉球古典音楽を聴いてみませんか?
琉球王朝時代(1424〜1879年)から現代に至るまで、長きに渡り演奏され、歌い継がれて来た琉球古典音楽の魅力を伝える決定盤!
沖縄の結婚式では式の始まりに必ず演奏される「かぎやで風節」を始め、琉球古典音楽の代表曲を収録しました。
- 歌詞・対訳・アルバム解説付き
- 全曲演奏用の楽譜(工工四と声楽譜)付き
このような楽譜がついています。
■アルバムの内容
琉球王朝時代に宮廷音楽として演奏されていた音楽の総称が琉球古典音楽です。その成立は湛水親方こと幸地賢忠(こうちけんちゅう)(1623~1683)によるものとされております。幸地は大和(沖縄から見て内地)の音楽や芸能にも通じていましたが、心に期する所があり三線や歌をはじめとする琉球音楽を大成させました。琉球古典音楽は主に冊封(さっぽうし:中国の皇帝が朝鮮、ベトナム、琉球などで国王が新たに即位する際、その即位を認める勅書等を携えて来た使者)や薩摩藩、江戸幕府に対する接遇として披露されていました。その曲数は200曲あまりあり、琉球舞踊や組踊、琉球芝居の楽曲としても演奏されています。演奏は一人の奏者が唄と三線を奏でる独唱と、複数の奏者による合唱とがあります。本作は琉球古典音楽の大家である城間徳太郎氏に長く師事してきた野原廣信による独唱で録音しました。
沖縄民謡とはひと味違う琉球古典音楽には、悠久の歴史を経て来た重みと、ゆったりとした情緒感があります。また歌われている歌詞には、“世の中の事を処するには誠の心で貫くことが最も大事なことである。この心持で凡てに接して居れば、どうして言葉が合わないということがあろうか”(仲風節))と言った内容があるなど、現代に於いても十分通用する歌詞です。
また本作収録の「かぎやで風節」は沖縄では歌われない日がない程、結婚式などあらゆる種類の祝宴で歌われており、人々の生活に深く浸透しています。なお、アルバムのサブタイトル、“命ど宝どう”は“命こそ宝だよ”という意味です。
このサブタイトルには、沖縄が抱えるさまざまな問題がいつか全て解決して、心から祝賀の歌曲である「かぎやで風節」を歌い踊りたいとの思いと、沖縄の古くからの格言である“命ど宝どう”こそ琉球古典音楽が持つ精神性の大切な一つであ ることからつけられました。
■演奏
歌・三線:野原廣信
笛:中村昌成/仲田治巳(琉球古典音楽野村流保存会 師範)
箏:糸数初枝/具志堅初美/新垣米子(琉球箏曲保存会 師範)
中村千恵子(琉球箏曲保存会 教師)
2016年4月 沖縄市にて録音
■収録曲
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- 01. 仲風節(二揚)/ナカフゥブシ(ニアゲ)
- 事を処する根本の道はただ誠実一つのみである、というメッセージが込められています。
- 02. 述懐節(二揚)/シュックェーブシ(ニアゲ)
- 貴方にお会い出来て、そのお顔を見るとなつかしさで胸が一杯になりますが、貴方とお別れしてしまうと、恋しさのあまり毎日の仕事が手につかなくなります、と歌われています。
- 03. 干瀬節(二揚)/フィシブシ(ニアゲ)
- 貴方と判かれば、どうして嫌と言うでしょう。冬の夜、夜通し語り合いましょう、と歌われています。
- 04. 子持節(二揚)/クワムチャーブシ(ニアゲ)
- そんなに悲しそうな声を出して鳴いている浜千鳥よ。私も愛児を失ってまさに同じ様に嘆きたい、と歌われています。
- 05. 散山節(二揚)/サンヤマブシ(ニアゲ)
- 突発の事件に遭遇して、これが現実であるのか夢であるのか解らない、と歌われています。
- 06. 仲風節(二揚下出し)/ナカフゥブシ(ニアゲサギンジャシ)
- 結ぶことの出来ない片糸のように、逢えないことを恨みながら年月が積ってしまった、と歌われています。
- 07. 述懐節(二揚下出し)/シュックェーブシ(ニアゲサギンジャシ)
- 悲しい別れの言葉を交わしてから、いくらも経過していないのにもうあの日の事が昔になってしまったのか、と歌われています。
- 08. 仲間節(本調子)/ナカマブシ(ホンチョウシ)
- 我が身をつねってみてこそ人の痛さもわかる。世の中は情けで成り立っている、無理をしないように、と歌われています。
- 09. 仲村渠節(本調子)/ナカンカリブシ(ホンチョウシ)
- 仲村渠家の母屋の裏座敷に簾を下げてあるが、そこが私の寝所になっています。人目に触れないように用心してお出でなさい、と歌われています。
- 10. 赤田風節(本調子)/アカタフゥブシ(ホンチョウシ)
- 大奥に奉仕する女官が、恋人と逢引きするので「みもの門」だけは閉まってくれるな、と切ない恋心を歌った曲です。
- 11. 仲風節(本調子)/ナカフゥブシ(ホンチョウシ)
- 月が山の端にかかる迄語り明かそうと歌い込まれた、恋人同志の時を忘れた語らいを描いています。
- 12. 述懐節(本調子)/シュックェーブシ(ホンチョウシ)
- 若い男女が尽きぬ別れを惜しむ様を歌い込んでいます。
- 13. かぎやで風節(本調子)/カジャディフゥブシ(ホンチョウシ)
- 今日の嬉しさは、何に例えようか。丁度つぼみが露を受けて元気よく花開くようなものだと歌われています。
- 14. 恩納節(本調子)/ウンナブシ(ホンチョウシ)
- 恩納村の松並木の下に禁止の立て札があるが、まさか恋愛することまで禁止した立て札ではありませんね、と歌われています。
- 15. ごえん節(本調子)/グヰンブシ(ホンチョウシ)
- 縁あってお会いすることが出来て大変嬉しいです。今日はお互い心ゆくまで遊びましょう、と歌われています。
- 16. 辺野喜節(本調子)/ビヌチブシ(ホンチョウシ)
- 伊集の花が美しく清らかに咲いている。私もあの伊集の花のように美しくありたい、と歌われています。
- 17. 揚作田節(本調子)/アギツィクテンブシ(ホンチョウシ)
- この松は二葉から育って何年たったものだろう。今は岩を抱えて茂り栄えている、と歌われています。
■野原廣信プロフィール
1950年、沖縄県・南風原町生まれ。沖縄県指定無形文化財。野村流古典音楽保存会伝承者。78年より、琉球古典音楽の大家の城間徳太郎氏に師事。99年沖縄タイムス芸術選賞グランプリ、2010年沖縄タイムス芸術選賞奨励賞ほか、受賞歴多数。「沖縄おめでたい歌 決定盤」「カチャーシー・六調・クイチャー・舞踊〜沖縄全島踊り唄決定盤〜」などのレコーディングにも参加。